大規模なビッグデータ活用の取り組みが注目される一方で、ビジネスの現場で日々役立つビッグデータ利用の在り方について、研究者や調査会社、メディアなどでの議論が続いています。そんななか、2012年ごろから使われ始めたのが「スモールデータ」という言葉です。

 スモールデータについて活発に情報を発信しているのが、米調査会社のヤンキーグループなどでアナリストを務めるアレン・ボンド氏。「Small Data Group」というプロジェクトを率いて、毎月レポートを公開し、2014年は「スモールデータ元年」だと述べています。

 同氏が提唱するスモールデータは、単に容量の小さいデータを指しているわけではありません。スモールデータは、「タイムリーかつ有意義な洞察を、アクセス可能かつ理解可能、日々の業務でアクション可能な形に体系化してまとめ上げたうえで、人と結びつけるもの」としています。つまり、データそのものだけでなく、それを有用なアクションにつなげるために必要な方法論や手続き、道具なども包含する概念というわけです。

 とはいえスモールデータは、ビッグデータの“流行”を契機に、データ活用のあり方を突き詰めて考えるために生まれた言葉であって、技術用語のように明確な定義はありません。「データ量が少なくても、的確な分析を丁寧に行えば、有用な知見を得られる」という認識を持ち、自社に有用なデータを探して分析することが企業の担当者には求められているといえそうです。