製造現場で得られたセンサー情報に背景情報などを加えて共有し、現場の改善活動などに役立てる情報活用の新しい考え方。IoT(モノのインターネット)を実現する日本発の概念として注目される。

 製造業ではIoTへの関心が急速に高まっています。にもかかわらず、「集めたビッグデータをどう生かしていくのか」、その絵をうまく描けていない企業は多いようです。

 特に深刻なのは、工場などの製造現場で集めたデータの活用です。実は多くの製造現場では「データを集めて見える化したのに、改善などのアクションに結び付けられていない」という課題に直面しています。

 そんななか、工場の現場で得た事実(データ)をきっかけに、現場のリスク対応や業務改善、さらには経営判断にまで生かそうという、情報システム作りに関する新しい考え方に注目が集まってきました。それがFOA(Flow Oriented Approach)です。

特徴:現場で意味ある情報を共有

 そもそもFOAは、ブリヂストンの元・取締役で、生産技術などを担当していた奥雅春氏が提唱している考え方です。2011年、奥氏はFOA専用ソフトの開発や導入コンサルティングを手掛けるsmart-FOA(東京・千代田)という会社を設立。それ以降、コマツなどの製造現場で導入が進んでいます。

 FOAの特徴は、製造装置やセンサーなどから生まれるデータに、現場の作業者の判断やアクションに必要な情報を追加することです。そのうえで、社内の情報ネットワークに「フローさせて(流して)」全社で共有する点にあります。

 製造装置から出される異常を示すデータを例に取ると、FOAではそのデータに、誰が作業したのかや、現場の温度や気圧、発生した状況といった「背景情報」を追加します。