「商品やサービスを買うときに重視するのは価格の安さよりも利便性」と考えている消費者の割合。野村総合研究所(NRI)が2015年11月に発表した、「生活者1万人アンケート」の調査で明らかになりました。

 この調査は1997年から3年ごとに実施しており、7回目となる今回は、2015年7月からの2カ月間で行いました。全国の15~79歳の男女の生活者1万人から、生活の価値観や消費実態について回答を得ています。

 NRIは消費価値観に関する調査項目から、4つの消費スタイルを導きだしています。価格の安さよりも利便性を重視する消費スタイルはそのなかの1つで「利便性消費」と呼ばれています。

 他に、気に入った付加価値には対価を払う「プレミアム消費」、製品に特別なこだわりがなく安ければよい「安さ納得消費」、情報を多く収集したうえで気に入ったものを安く買う「徹底探索消費」があります。

 利便性消費は、他の3つの消費スタイルに比べて、19ポイント以上も高い結果になりました。2012年に実施した前回調査と比べても、他の3つは横ばいか減少なのに対し、利便性消費だけは前回よりも6ポイント多くなっています。

 この調査では、共働き率やスマートフォンの所有率も調べています。いずれも3年前の前回調査よりも増加しています。利便性消費スタイルが増加した理由をNRIは、忙しい共働き世帯の増加で「価格にこだわらず、スマホなどの便利な手段で欲しいものを買う人が増えた」と分析しています。