今後の日本経済が実質ゼロ%成長を続け、女性や高齢者の労働参加が進まないと仮定した場合の、2030年時点の就業者数推計を2014年実績と比較したもの。厚生労働省の雇用政策研究会が2015年11月に発表した労働力推計で明らかになりました。2014年実績の6351万人から5561万人へ、12%減る見通しです。

 人口減少と高齢化が進むなか、ワークスタイルや採用・定年の仕組みを見直さなければ、今まで通りに従業員を確保できず、企業が先細りになることが懸念されます。わずか15年先の話だけに対策は急務です。

 男女・年代別で、特に減少幅が大きいのは「男性・40~44歳」(156万人減)、「男性・35~39歳」(120万人減)、「女性・40~44歳」(116万人減)など。いずれも3割前後の大幅な減少で、実務をリードする中堅社員の不足が深刻になりそうです。産業別では卸売・小売業が253万人減、製造業が130万人減となる一方、医療・福祉は163万人増の見込みです。

 一方で同研究会は「経済成長と労働参加が適切に進むケース」という別の試算も出しています。今後の経済成長率を実質2%としたうえで、(1)フリーター・ニート対策や求人のミスマッチの解消で若者の働き手が増加、(2)出産・育児による退職の減少や男性の家事分担拡大、保育園の整備などで女性の働き手が増加、(3)定年延長や再雇用制度で60代の働き手が増加―など労働環境の改善があると仮定すると、2030年の就業者数推計は6169万人。2014年実績比で182万人減と、減少幅を圧縮できるといいます。