IT部門の5年後の役割は「従来のITの維持」と答えた割合。ガートナージャパンが2015年10月に発表した、国内企業334社が対象の「日本企業のデジタル・ビジネスに向けた準備状況」の調査で判明しました。

 2015年7~8月に調査し、回答者の内訳をみると、多くはITに関する業務担当者が占めています。ITのユーザー企業に所属する回答者が7割、ベンダー所属の回答者が3割の比率になりました。

 従来のITの維持に代わり、5年後の役割として多かったのは「少なくとも、全社に向けたテクノロジー共通基盤とともに、テクノロジー活用、クラウド、セキュリティーに関するガバナンスの役割を担うべきだ」で、80.8%になりました。IT部門の変革の必要性が、企業のIT担当者に浸透してきているといえそうです。

 調査では、モバイルやクラウド、ソーシャルといった新しいITでビジネスの仕組みを変革する「デジタル・ビジネス」についても、各社に取り組み状況を聞いています。その結果、全体の70.7%が「デジタル・ビジネスへの準備を進めている」ことが分かりました。ですが、全社的に活動している割合は2割にとどまります。IT部門またはビジネス部門が単独で準備している割合は、それぞれ16.5%、11.1%でした。

 同社の鈴木雅喜リサーチバイスプレジデントは「IT部門が本当に変わっていけるかが問題だ。デジタル・ビジネスを企業戦略と位置付けたうえで、経営層が変化を阻む要因を捉え、1つずつ取り除いていくことが重要になる」と指摘します。