数時間から数日という短い期間で、プログラミングのアイデアやスキルを競い合うイベント。IT業界を中心に技術者が自らの腕を磨いたり、主催者に披露したりする場として注目を集めている。


 エンジニアが複数のチームに分かれて、目を真っ赤に腫らしながら、パソコンに向かって夜通しプログラミングをする――。IT業界を中心に、こうしたイベントを指すハッカソンに注目が集まっています。

 ハッカソンとは、プログラム開発を意味する「ハック(Hack)」と「マラソン(Marathon)」をかけ合わせた造語です。事前に与えられたお題やデータ、プログラム開発ツールを活用し、規定時間内にアプリなどを作り上げます。

利点:外部の知恵でイノベーション

 ハッカソンは2000年前後に米国で始まったとされ、当初はIT業界が中心でした。ですが最近は他の業界や自治体、大学も積極的にハッカソンを開催しています。例えば、千葉県流山市はオープンデータを活用し、市民の生活改善に役立つアプリを開発するハッカソンを開きました。市民に公開しているアプリもあります。井崎義治市長は「(ハッカソンを開催することで)若い世代を中心に、市政に対する関心が高まるはずだ」と話します。

 企業や自治体、大学がハッカソンに期待するものは2つあります。1つは、外部のアイデアやリソースを使って、イノベーションを推進することです。自社内の人材だけで商品やサービスを開発しているとどうしても、既成概念にとらわれがちです。しかしハッカソンであれば、短い期間で外部の知恵や技術に触れることができます。ハッカソンは「オープンイノベーション」の1つの形といえるでしょう。