物流センターや倉庫でのピッキング作業の指示に、音声システムを用いる手法。紙のリストによる指示に比べて生産性や精度を高められる、作業者の能力差を平準化できるなどのメリットがある。


 倉庫内でのピッキング作業では、どの棚から、どの商品を、どの順番で、いくつピッキングするかという作業指示が欠かせません。現在はその指示を「文字」で伝えるのが一般的です。作業者は指示内容を印刷した帳票や指示を画面表示できるハンディー端末などを持って、逐一参照しながらピッキング作業をこなしていきます。

 そんななかで最近、文字の代わりに「音声」を使う手法が注目されています。音声ピッキングです。文字を一切使わないので、帳票やハンディー端末は不要です。代わりに、作業者は音声による作業指示を受信するための装置と、受信した指示を聞き取ったり応答したりするヘッドセットを頭に装着して作業します。

仕組み:2人1組で作業するイメージ

 では、「通路3番」の「棚329」(確認番号は「46」)に保管された商品を「5個」ピッキングする作業を音声ピッキングする流れを見てみましょう。指示1「通路3番へ移動」→作業者は移動後に「準備完了」と声で返答、指示2「棚329へ移動」→作業者は移動後に「準備完了」と返答、指示3「確認番号は?」→作業者は棚番号の脇に記載された確認番号を確認して「46」と返答、指示4「5個そろえてください」→作業者は5個を棚から取り出してから「5」と返答――。こうなります。

 このように音声ピッキングの作業は、1人(実際はコンピュータ)がリストを持って音声で指示を出し、もう1人(ピッキングする作業者)がピッキングするという具合に、音声認識を通して“2人1組”で作業するイメージです。