女性が職場で能力を発揮し、活躍できるよう環境整備を進めるための法律。2016年4月の施行後、労働者301人以上の企業は、女性の活躍に向けた行動計画の策定・公表などが義務付けられる。

 正式名称は「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」。2016年4月1日に施行された新法です。その名の通り、働く女性がより活躍できる環境を整えることを目的としています。

背景:依然進まない女性の活躍

 「女性の仕事はお茶くみとコピー取り、結婚したら寿退社」。1972年に施行され、その後も時代の変化に応じて改正を繰り返してきた男女雇用機会均等法により、冒頭のような露骨な女性差別をする企業は減っています。では、働く女性が男性と同様に活躍できているかというと、残念ながらそうとはいえません。

 雇用者に占める女性の比率は、43.3%まで増えています。しかし、詳細に見ると、(1)女性の採用数に対する応募者数の倍率を男性と比べると、総合職で4倍弱、一般職でも2倍強高く、狭き門になっている、(2)管理職の女性比率は11.2%で、30~40%台の欧米諸国だけでなく、20%台のタイやマレーシアといった新興国にも差を付けられている、(3)約6割の女性が第1子の出産を機に退職し、その後の再就職では大半の女性が非正規雇用になっている、(4)就業を希望しながらも働けていない女性は315万人に達する―など、依然として女性が働きにくい状況が目に付きます。

 こうした状況を受け、さらに働く女性を支援する環境を整えるべく、女性活躍推進法が制定されました。同法では、パートや契約社員を含めて実質的に無期限雇用の労働者が301人以上の事業所に対して、(1)自社で働く女性の活躍状況の把握と課題分析、(2)女性の活躍を進めるための行動計画の策定と公表、(3)自社の女性の活躍に関する情報公開―などを義務付けています。行動計画では、採用者や管理職の女性比率など、具体的な数値目標が求められます。