文書や画像、動画ファイルを大量に格納できるように、複数サーバーをストレージとして利用できるようにするソフトウエア技術。運用しやすいことが評価され、注目が集まっている。


 企業で日々蓄積しているのは、経理や財務、販売管理などの基幹系システムのデータにとどまりません。電子メールや文書ファイル、画像や映像など多岐にわたります。最近ではビッグデータの分析対象として、システムログやセンサーデータなども蓄積されるようになっています。

 データの蓄積にはストレージ装置を使うのが一般的。しかし、「ストレージ装置は高価なので、買い足すコストがかさんだり、増えた装置の管理が大変になったりする課題がある」と、シーティーシー・エスピーの高島淳司氏は指摘します。

動向:ソフトの登場で採用実績も

 そこで注目を集めているのが、オブジェクトストレージです。ストレージ装置よりも、割安なサーバーを複数組み合わせてストレージ装置として利用できるようにするソフトウエア技術です。2005年ごろに登場した技術ですが、米アマゾン・ドット・コムが提供するクラウドストレージサービス「Amazon S3」が採用していることで注目を集めました。

 ここ1年で、アマゾンより割安なオブジェクトストレージのサービスや、専用ソフトが登場しています。ヤフーは2014年2月、新しいクラウドストレージサービスの基盤に、米Bashoテクノロジーズのオブジェクトストレージ技術を採用しました。

 専用ソフトにはBashoが開発するオープンソースソフトの「Riak CS」や、シーティーシー・エスピーが2013年秋に市販を始めた米カリンゴの「CAStor」などがあります。導入事例も出てきました。広島県の呉共済病院がCAStorを使って約40テラバイトのオブジェクトストレージを構築。長期保存が必要な医療画像を管理しています。