社員の健康管理に積極的に取り組んでいて、ROE(自己資本利益率)が基準を超えている企業の株式銘柄。経済産業省と東京証券取引所が、同所の上場企業を対象に選定する。

 職場で働く社員の心身が不調になると、その社員が担当する業務や関連する業務の生産性は大きく低下してしまいます。生産性の低下は、企業活動の成果である利益率を押し下げます。このように、社員の健康状態が企業の業績に大きく影響を与えるにもかかわらず、健康管理の多くはこれまで、社員個人や家族の努力に委ねられてきました。

 そこで経済産業省は2014年10月、「健康投資」という新たな考え方を提唱しました。企業のトップが社員の健康を経営課題の1つとして捉え、社員の健康維持と向上に積極的に関わるように促すためです。

 同時に打ち出した施策が「健康経営銘柄」の選定です。健康投資によって生産性が高まり、それが業績の向上につながれば、株価や企業イメージの向上にもつながります。健康経営銘柄を選定することで、健康投資に取り組む企業への評価を定着させる狙いがあります。

 経済産業省は3月25日、「健康経営銘柄」の22社を公表しました。1業種1社に限定し、アサヒグループホールディングス(食料品)や東レ(繊維)、花王(化学)、ロート製薬(医薬品)、ブリヂストン(ゴム製品)、コニカミノルタ(電気機器)、川崎重工業(輸送用機器)、ローソン(小売業)などが選ばれました。