利用者の活動状態や健康状態をリアルタイムに収集・管理できる衣服。ウエアラブル端末の一種で、着るだけで心拍数などを計測できる。NTTと東レが新製品の開発に乗り出した。


 米グーグルの「グーグルグラス」に代表されるウエアラブル端末が大きな注目を集めています。そんなウエアラブル端末の一種で、今後注目を集めそうなのがスマートテキスタイル、あるいはスマートファブリックと呼ばれる衣服です。

 スマートテキスタイルを着用すれば、心拍数や歩数、カロリー消費量などをリアルタイムに収集できます。利用者は収集したデータを自身のスマートフォンで確認し、生活習慣の見直しにつなげたり、必要であれば病院で治療を受けたりと、健康管理に役立てることができます。

 野村総合研究所の桑津浩太郎コンサルティング事業本部ICT・メディア産業コンサルティング部長主席コンサルタントは、「スマートテキスタイルはウエアラブル端末の本命」と話します。

動向:NTTと東レが共同開発

 国内ではスマートテキスタイルの開発は始まったばかり。例えば、NTTと東レがスマートテキスタイルの共同開発に乗り出しており、「hitoeヒトエ」と呼ばれる新素材を開発しました。

 利用者はヒトエを使った衣服を着用することで、心拍数や心電波形などをリアルタイムに計測し、スマホで確認できます。まだ試作品の段階ですが、2014年内にヒトエを使った衣服を投入する予定です。

 この分野で先行するのは米国です。例えば、米Rest Devicesはセンサーを組み込んだ乳幼児用衣服の販売を開始しています(価格は約200ドル)。赤ちゃんの呼吸状態をリアルタイムに収集・管理し、異常があれば両親のスマホにアラートを送る機能を備えた商品です。このほかストレスの度合いを計測するシャツの販売を始めたりしているベンチャー企業もあります。

 眼鏡型や時計型といった一般的なウエアラブル端末とスマートテキスタイルを比較した利点は、データの計測精度が高いことです。スマートテキスタイルは体に密着しており、表面を幅広く覆っているからです。

 時計型のように歩数や消費カロリーだけでなく、心拍数や心電波形などのデータをきめ細かく収集できるため、医療用途で有望視されています。医師が遠隔で在宅患者の健康状態を把握する場合に、スマートテキスタイル経由で情報を把握するなど適用事例が考えられます。