データセンターなどの設備仕様のオープンソース化を推進するプロジェクト。米フェイスブックが提唱し2011年4月に発足。2014年1月、米マイクロソフトや米IBMが参加を表明し、再注目を集める。


 OCP(Open Compute Project)は“ハードウエア版オープンソース”ともいわれる活動です。拡張性に優れたITインフラを構築するために、参加企業が集まって、最も効率の良いデータセンター(DC)やDC内に設置するハードウエア機器の設計仕様を定め、それらを公開・共有します。OCPが仕様を策定する対象は、DCのほか、サーバーやストレージ、スイッチなどのネットワーク機器などです。

 OCPの活動を主導しているのは米フェイスブック。狙いは、データセンターに特化した低消費電力型ハードを作ること。無駄な機能や部品を徹底的に排除し、安価なサーバーを調達するためでもあります。フェイスブックは、汎用的なハードでは過剰スペックだったり、消費電力効率の面で課題があると考えているわけです。

 OCPの仕様に準拠したハードウエアは既存製品に比べて、消費電力量を11%削減できるとされています。保守性にも優れ、8割の部品について交換時間が3分以内。フェイスブックはOCPや関連の取り組みにより、過去3年間で12億ドル(1200億円)以上削減したと公表しています。

動向:マイクロソフトやIBMが参加

 活動が始まって3年ほどたつOCPですが、ますます活性化しているようです。2014年1月、米マイクロソフトと米IBMが新たにOCPに参加することを表明。既にOCPに参加する起業は150社以上です。日本にはOCPの推進組織「OCPジャパン」があり、このほかのアジアや欧州の国・地域でもOCP組織を設立する動きが広がっています。

 国内では、伊藤忠テクノソリューションズ(CTC)が国内で初めてOCPとソリューションプロバイダー契約を締結。2014年4月からOCPに準拠したDCやハードウエアの販売、導入支援、保守サポートなどの事業を開始します。

 OCPに準拠したDCやハードウエアの導入に向く分野は、「大量データを扱う通信事業者やクラウドサービス事業者」とCTCの小泉利治ITエンジニアリング室インフラソリューション技術第1部部長補佐は指摘します。

 一方、「高い信頼性の求められる銀行の勘定系システムや一般企業の基幹系システムについては、従来型のDCやハードウエアを導入し、IT企業のサポートを受けるのが得策」(小泉氏)のようです。すべてのITインフラがOCP準拠になるわけではなく、ユーザー企業には使い分けるスキルが求められます。