「マイナンバー法」に沿った行政手続きに向けて、企業が強化すべき個人情報の保護対策のこと。企業が違反すると罰則が科されることから、対応が急務になっている。

 2015年1月、政府のIT施策についての情報を発信する日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)が東京・赤坂で開催した緊急セミナーに、300人もの企業関係者が集まりました。「2016年1月のマイナンバー制度の本格実施に向けて、企業は何をしなければならないか」という旬のテーマを有識者らが解説するとあって、企業関係者が殺到したのです。

制度:国民1人ひとりの情報を横串

 マイナンバー制度とは、社会保障・税番号制度とも呼ばれるものです。国民1人ひとりに12桁の番号である「マイナンバー」を割り当て、それを社会保障や税金に関する行政手続き書類に記入していきます。

 制度の狙いは、各省庁が持つ、国民1人ひとりの税金や社会福祉などに関わる情報を、横串で見られるようにすることです。「所得があったのに税金が未払い」「所得がないのに十分な社会保障を受けていない」といった人を見つけて対処することを目指します。

 2013年5月に関連する法律が成立した後、実施準備が進められてきました。2014年10月に、企業向けガイドライン案を公開。60ページに及ぶ内容を解説するため、JIPDECは冒頭のセミナーを開いたのです。

 企業は2016年1月以降、全ての従業員からマイナンバーを教えてもらわなくてはいけません。そしてそれを源泉徴収票や扶養控除等申告書といった、従業員に関わる書類に記入することが求められます。