社内の経費精算で紙の領収書を保管する代わりに、画像データとして保管することを認める新制度。2016年度の税制改正大綱で、スマートフォンなどのカメラで領収書を撮影することが可能になった。

 タクシー代や事務用品の購入レシート、取引先企業との間で交わされる請求書や領収書を、1枚ずつ台紙にのり付け―。経費精算を巡り、多くのビジネスパーソンが長年わずらわしい思いをしてきたのが、領収書の原本を保存する義務です。国税当局が法人税などの支払いに疑問を持った際、きちんと根拠を示せるように、領収書は原則として7年間、保存する義務があります。

概要:スマホ撮影、17年から可能に

 保存はこれまで、紙の原本をそのままの状態で持つ必要がありました。例外として、領収書をスキャナーで読み取り電子化する制度もありましたが、要件が厳格で、恩恵にあずかれる企業はごく少数でした。デジタルデータは改ざんが容易で、不正経理の温床になりかねないと、国税当局が警戒していたためです。

 しかし、煩雑な経理業務を省力化したい産業界からの強い要請を受けて、こうした厳しい規制は徐々に緩和されつつあります。

 2015年12月に発表された2016年度の税制改正大綱では、領収書や契約書などを対象に、新たにスマホやデジタルカメラで撮影した画像データを公式な書類として認める規制緩和が発表されました。2016年9月30日以降に国税当局に領収書の画像データによる保存の申請をすることで、2017年以降の企業内の会計処理に適用できます。

 こうしたペーパーレス経費精算には依然、多くの要件が定められています。例えば、国税当局への申請では、使用するパソコンやスマホ、スキャナー、プリンターなどの機器を全て書き出す必要があります。