「政府共通プラットフォーム」とは、クラウドコンピューティングをはじめとする最新の情報通信技術(ICT)を活用して、従来は各府省が個別に整備・運用していた政府情報システムを統合・集約するとともに共通機能を一元的に提供する基盤システムのことです。

 2012年度に1450存在していた政府情報システムを、2021年度までに619システムまで減らし、そのうち300システムを政府共通プラットフォームに移行する予定です。

全体最適化を目指し2013年3月に稼働

 政府は2003年度から、「業務・システム最適化」に取り組み、業務・システムの集中化やレガシーシステムのオープン化を推進してきました。その結果、システム運用コストの削減や業務処理の効率化などの成果が上がりました。ただし、これらの取り組みは個々の業務・システムの範囲にとどまっており、政府全体としての業務・システムの効率化など、全体最適化の取り組みとしては不十分でした。例えば、各府省が個々にシステム整備を進めていたことから、ソフトウエア開発などで重複投資が発生していたほか、各府省にはシステムの管理運用のために大きな業務負担がかかるなどの問題がありました。

 政府は全体最適化に向けた取り組みを進めるために、高度情報通信ネットワーク社会推進戦略本部(IT総合戦略本部)が2009年4月に策定した「デジタル新時代に向けた新たな戦略~三か年緊急プラン~」で、「霞が関クラウド(仮称)」を構築して、全府省横断的に業務およびシステムの最適化を推進する旨を記載しました。これを受け、総務省は同年6月から「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」を開催。「政府共通プラットフォーム」の実現に向けた検討を進め、2010年4月に最終報告書を提出しました。

 その後、IT総合戦略本部が2010年5月に策定した国家IT戦略「新たな情報通信技術戦略」、同年6月に策定した「新たな情報通信技術戦略 工程表」、さらに2011年8月に策定した「電子行政推進に関する基本方針」では、政府共通プラットフォームの整備を進めることが盛り込まれました(表1)。

表1●政府共通プラットフォームに関わる決定など
デジタル新時代に向けた新たな戦略~三カ年緊急プラン~
  (2009年4月9日 IT戦略本部)
新たな情報通信技術戦略
  (2010年5月11日 IT戦略本部)
「政府情報システムの整備の在り方に関する研究会」最終報告書
  (2010年4月16日 政府情報システムの整備の在り方に関する研究会)
新たな情報通信技術戦略 工程表
  (2010年6月22日 IT戦略本部)
電子行政推進に関する基本方針
  (2011年8月3日 IT戦略本部)
政府共通プラットフォーム整備計画
  (2011年11月2日 各府省情報化統括責任者連絡会議)

 これらの方針を踏まえ、各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議が2011年11月に「政府共通プラットフォーム整備計画」を決定し、政府共通プラットフォームの実現に向けた具体的なロードマップが示されました。総務省行政管理局の下で設計・構築作業が進められ、2013年3月に運用が始まりました。政府共通プラットフォームの構築・整備のための費用は、「政府共通プラットフォーム整備等経費」として2011年度に3.4億円、2012年度8.3億円、2013年度25.5億円、2014年度59.5億円が予算計上されています。