ドローンは、もともと雄のミツバチを意味する単語ですが、無人で飛行可能な航空機を指す総称として使われています。様々な用途、大きさ、形状のドローンがあり、商用のドローンは幅数十センチメートル程度の小型~中型機で、複数の回転翼を持つマルチコプターが主流です。

 マルチコプターなどのいわゆるドローンは、ラジコン機や農薬散布用ヘリコプターなどともに航空法上の「無人航空機」に該当します。航空法上の無人航空機の定義は、「航空の用に供することができる飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船その他政令で定める機器であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」です(図1)。ただし、機体本体とバッテリーの合計重量が200グラム未満のものは除外されます。以下では、主に行政やビジネスの用途でのマルチコプターに焦点を当てて解説します。

図1●航空法上の「無人航空機」の例
図1●航空法上の「無人航空機」の例
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出典:国土交通省「無人航空機(ドローン・ラジコン機等)の飛行ルール

 ドローンという用語は、1930年代後半から、無線で操縦される軍事用無人飛行機を指すものとして使われ始めました。軍事用ドローンは、2001年のアフガニスタン紛争や2003年のイラク戦争などにも投入され、メディアでも報じられたことで、多くの人がその存在を認知したと考えられます。その後、技術の発展により、高性能で低価格の小型機が開発されました。

 ドローンの世界シェアの約7割を握っているのが中国のDJI(本社:深セン)です。同社が販売する「PHANTOMシリーズ」の累計販売台数は、100万台とも推測されています。日経BPクリーンテック研究所の予測では、日本国内の業務用ドローンの市場規模は2030年には1000億円を超えるとしており、今後一層の普及が見込まれています。