図●MVNOとMNOの接続形態
図●MVNOとMNOの接続形態
L3接続は、MNOがユーザーからのIPパケットをMVNOに中継する。これがレイヤー3(L3)で接続するという意味だ。一方L2接続では、ユーザーのIPパケットがレイヤー2(L2)のトンネルを通じてMVNOに直接届く。
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 MVNO(Mobile Virtual Network Operator、仮想移動体通信事業者)は自社のネットワークを携帯電話事業者(MNO:Mobile Network Operator)のネットワークと接続してサービスを実現している。その際の接続形態の1つが「レイヤー2接続」(L2接続)だ。

 L2接続とは、ユーザーとMVNOのパケット中継装置(PGW:Packet data network GateWay)がL2トンネルで結ばれる接続形態である。ユーザーに割り当てられるのはMVNOのIPアドレスだ。パケット中継装置はモバイルネットワークの構成要素の1つであり、これがMVNO側にあるため、MVNOが様々な制御を施せる。

 現在、ほとんどのMVNOはレイヤー2接続を選択している。その最大の理由は、サービス設計の自由度を高めるためである。料金プランを含めた新サービスの設計には、パケット中継装置などの終端装置をMVNO側に置く必要があるためだ。

 もう1つの接続形態が、「レイヤー3接続」(L3接続)。L3接続の場合、ユーザーには、MNOがIPアドレスを割り当てる。そして、IPパケットを転送するためのL2トンネルは、MNOのネットワーク内に置いたパケット中継装置で終端される。MVNOのネットワークは単にIPパケットを転送するだけだ。この場合、MVNOは自社で設備を用意する必要がないため、設備投資を抑えられる。

 L2接続の場合、パケット中継装置であるPGWに隣接して、様々な制御用のサーバーが配置される。利用者の管理・認証などを受け持つRADIUSサーバー、利用者のデータ容量や課金情報を管理するOCS(Online Charging System)、利用者ごとの通信ルールを管理するPCRF(Policy and Charging Rules Function)、そしてそのルールをPGWに適用してパケット転送を制御するPCEF(Policy and Enforcement Function)である。

 これらの装置が連携して、ユーザーごとのデータ容量管理や、ユーザー自身による高速・低速切り替えといった機能を実現する。このように、MVNOがL2接続によってこれらの装置を自社で運用しないと多様なサービスを独自に開発するのは難しい。