図●タグフレームと通常のフレームのフォーマット
図●タグフレームと通常のフレームのフォーマット
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 タグフレームは、「タグ」と呼ばれる情報をヘッダーに追加したイーサネットフレームの一種である。VLAN方式の一種であるタグVLANで使われる。VLANとは、LANをレイヤー2レベルで複数のセグメントに分割したり統合したりする技術である。

 タグVLANでは、フレームに付けられたタグをLANスイッチが参照して適切なセグメントへと流す。こうすることで、セグメントを切り分ける。

 セグメントが複数のLANスイッチをまたがる場合でも、LANスイッチ間の接続はLANケーブル1本で済む。もちろん物理ポートも1つでよい。1つの物理ポートを複数のVLANに所属させる構成も可能になる。

 タグフレームでは、通常のフレーム(アンタグフレーム)に、2バイトの「タイプ」と2バイトの「TCI」(Tag Control Information)の合計4バイトの情報を追加する()。

 タグフレームに追加する「タイプ」は8100Hを使う。この値はタグフレームを識別するための情報で、IEEE 802.1Qで規定されている。VLAN機能を持つLANスイッチは、受信したフレーム内の「タイプ」を見て、そのフレームがタグフレームかアンタグフレームかを判別する。タグフレーム(8100H)だったら、TCIの中の情報を使って、どのVLANに所属するフレームかを判別する。VLANを判別するためのVLAN IDは、TCIの中の12ビットを使って表現されている。

 12ビットで表現できる数は、0〜4095である。だが、LANスイッチで設定可能なVLAN IDは1〜4094。つまり、VLANは4094個まで作れる。0と4095は、IEEE 802.1Qにおいて予約された値として規定しているため、VLAN IDとして使えない。

 またタグフレームは、通常のフレームとは最大フレーム長が異なる。イーサネットでは、最大フレーム長は1518バイトであるが、タグフレームでは1522バイト(1518バイト+4バイト)となる。

 なお、タグフレームは、IEEE 802.1Qの機能を持つ機器でなければ認識できない。タグフレームを認識できない機器は、タグフレームを受信しても廃棄する。