図●イーサネットの概要
図●イーサネットの概要
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 イーサネットは、LANを実現するための伝送技術の1つ。現在、有線のLANはほぼすべてイーサネットで実現されており、LANの代名詞とも呼べる存在となっている。LAN以外にも、アクセス回線やプロバイダーのバックボーンなど、利用する場所は広がっている。

 イーサネットは、米ゼロックスの研究所(PARC)のロバート・メトカフ氏が1973年に開発した。「イーサ」という名称は、光を伝える架空の伝送媒体「エーテル」に由来する。

 それを引き継いで、1980年に「DIX」と呼ばれる現在のイーサネットのベースとなる仕様が作られた。DIXの名称は、仕様を策定した米DEC(ディジタル・イクイップメント)、米インテル、米ゼロックスの頭文字を元にしている。その後、イーサネットの仕様策定は、1980年に設置されたIEEE 802委員会が引き継いだ。

 イーサネットの標準規格は、「IEEE 802.3」として定められている。その規定範囲は大きく2つに分けられる。1つは物理層(レイヤー1)、もう1つはデータリンク層(レイヤー2)の下半分である()。

 物理層は主に、データを運ぶための信号の送り方について規定している。伝送速度を決めるのは、この物理層の仕様だ。

 イーサネットの物理層では、高速にデータを伝送するために新しい規格が作られてきた。現在、一般的なLANで主に使われている100Mイーサネットと1Gイーサネットの規格は、それぞれ1995年、1998年に作られた。さらに、10Gイーサネット(2002年)、100G/40Gイーサネット(2010年)と新規格が策定された。そして現在、400Gイーサネットの規格策定に向けて検討が進んでいる。

 データリンク層の下半分はMAC副層とも呼ばれ、主にイーサネットフレームのフォーマットとメディアアクセス制御(MAC)について規定している。

 イーサネットフレームは、IPパケットなど上位レイヤーのデータを運ぶためのデータのかたまり。フレームのフォーマットは、物理層が高速な仕様に変わっても共通となっている。つまり、高速化してもこれまでと同じイーサネットフレームが使えるのである。