ホワイトボックススイッチは、ネットワークで使うスイッチ製品の一種。スイッチのハードウエア部分だけの製品を指す。スイッチに搭載するOSやアプリケーションといったソフトウエア部分は、スイッチを使うユーザー企業が自分で選んで導入するか、自社開発する。ハードウエアとソフトウエアをユーザーが選んで組み合わせられるのが、ホワイトボックススイッチの特徴だ。ベアメタルスイッチとも呼ばれる。

 ネットワーク機器ベンダーはこれまで、ハードウエア(きょう体や基板)とソフトウエア(OSや各種プロトコル、管理機能など)をワンセットにした製品を販売してきた。ハードウエアとソフトウエアは分かちがたいものであった。一方、米グーグル、米フェイスブックなどの大規模クラウドサービス事業者は、大量のネットワーク機器を必要としている。大量の機器を導入するコストは膨大なので、これを抑制する必要がある。また、こうしたクラウドサービスでは、機器ベンダーが想定していないネットワーク機能がスイッチに必要になることがある。

 そこでクラウド事業者が目を付けたのが、台湾などに多いODM(Original Design Manufacturing)ベンダーだ。ODMとは、ネットワーク機器ベンダーなどの顧客が指定した仕様に従って、製品を設計・製造するビジネス。クラウド事業者は、自社で使うホワイトボックススイッチの製造を直接ODMベンダーに依頼し、そこにソフトウエアベンダーから購入した、あるいは自社開発したソフトウエアを搭載して利用する。このようにして、既存のスイッチより導入コストを下げつつ、クラウドサービスで必要なネットワーク機能を追加するのである。