OTA測定は、CTIA(Cellular Telecommunications & Internet Association)や3GPP(3rd Generation Partnership Project)といった移動通信関連の国際標準化団体が定めた、携帯電話やスマートフォンの無線性能の測定方法。単なる端末の性能だけでなく、ユーザーの利用状況を加味した測定方法になっている。

 OTA測定を実施する方法は、大きく2つある。1つは電波暗室を用いる測定方法。もう1つは反響箱を用いる方法だ。どちらもCTIAで定められた測定方法だが、電波暗室を使う方が標準的。ただ反響箱を使う方が、コストと時間面で有利であるため、こちらも測定方法として認められている。

 電波暗室は外部からの電波を遮断し、かつ室内の放射電波を外に漏らさない密閉空間。その中に円形に配置したアンテナを設置し、指定した条件の電波環境を再現する。これで、屋外と同様の電波伝搬環境を再現できる。この測定システムの利点は、大型の疑似人体(ファントム)を用いて、人の影響を加味した測定が可能なこと。スマートフォンによる電波の放射特性を、3次元的に測定できる。

 一方、反響箱を用いる測定システムは、箱の内部にある金属板や送信用アンテナの設置場所を自由に変えられる。反響箱自体金属でできており、さらに金属板を使って電磁波を乱反射させる。この状況を「撹拌」と呼ぶ。この撹拌における計測値を統計的に処理することで、屋外の電波伝搬環境を模擬する。電波暗室に比べ小型であるため、スマートフォンのメーカーはこの装置を基準装置として利用している。キャリアの受け入れ評価にも、反響箱によるOTA測定が実施されている。