Bluetooth Low Energy(BLE)は、無線通信技術Bluetoothの低消費電力版。国際標準化団体であるBluetooth SIGによって、Bluetooth 4.0の仕様の一部として策定された。

 Bluetooth 3.0までは通信速度の向上や安定性を重視して強化されてきたが、BLEは消費電力の削減を目指して標準化が進められた。主にセンサー類やスマートフォン、スマートウオッチなどのウエアラブル機器で使われる。

 これまでのBluetooth(Classic Bluetooth)と比べて、消費電力を半分以下に抑え、ボタン電池などで対応機器を数年間稼働可能。IoT(Internet of Things)のような様々な機器から情報を集めたい場合に有効な技術だ。

 消費電力を抑えるため、BLEは以下の工夫を盛り込んだ。

 まず出力を10mWとClassic Bluetoothの10分の1にした。規格上の通信距離は最長50m程度。実機では数メートル程度だ。

 転送できるパケットサイズは最大で47バイトと、Classic Bluetoothの約20分の1。短距離にある機器と短いデータをやり取りする用途に特化して、消費電力を抑えた。

 通信相手を見つける方式も簡素化した。Classic Bluetoothは、2.4GHz帯を79のチャネルに分割。このうち32が通信相手との接続時に使う制御用チャネル「アドバタイズチャネル」で、実際にはそのうちの1つを使う。このため、通信相手がどのチャネルを使っているかを見つける処理に時間がかかる分、電力を消費していた。

 一方のBLEは、2.4GHz帯を40のチャネルに分割して使う。アドバタイズチャネルを3つに絞り、見つけやすくした。その分、電波の混雑には弱い。こうした仕組みの違いから、同じ2.4GHz帯で通信をするものの、Classic Bluetooth対応機器と、BLE対応機器は基本的に互換性がない。

 ブランドロゴも紛らわしいので要注意だ。「Bluetooth SMART」というブランドロゴは、BLEを含むBluetooth 4.xへの対応を示す。3.0までへの対応を示す「Bluetooth」ロゴの機器とは通信できない。一方で、「Bluetooth SMART READY」というロゴの機器は、両方の製品と通信が可能である。

図●Bluetooth Low Energyと従来のBluetoothとの比較
図●Bluetooth Low Energyと従来のBluetoothとの比較
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