図●RIP(Routing Information Protocol)の動作
図●RIP(Routing Information Protocol)の動作
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 RIPは、ホップ数によって最適な経路を判断するダイナミックルーティングプロトコルである。ダイナミックルーティングプロトコルは、パケットの転送先を判断するためのルーティングテーブルを動的に作成する仕組み。主にルーターやレイヤー3(L3)スイッチに備わっている。

 ホップ数とは、宛先ネットワークに到達するまでに経由するルーターやL3スイッチの台数である。この数が小さい経路を、パケットを送り出すための最適な経路と判断してルーティングテーブルを作成するのが、RIPの役割である。

 RIPを動作させたルーターは、隣り合うルーターへ30秒おきに自分が持つ経路情報を送り出す()。新しい経路情報を受け取った隣のルーターは、自分のルーティングテーブルに蓄積していく。このときにやり取りする経路情報は、ネットワークアドレスとメトリック(宛先までの距離を示す値=ホップ数)の2つだ。ルーティングテーブル上のネクストホップには、経路情報を送ってきた送信元IPアドレスを登録する。30秒ごとにルーターからルーターへ、伝言ゲームのように経路情報が伝わり、各ルーターのルーティングテーブルが作成されていく。

 RIPはシンプルでわかりやすい仕組みだ。しかし、ルーター間の回線の帯域(伝送速度)については考慮しない。そのため「宛先までのホップ数は多いが、高速な回線でつながっている経路」があっても、それを最適とは判断しない。また、「経路情報のやり取りが30秒おきのため、伝達に時間がかかる」「仕様上、メトリックの最大値が15であるため、16台以上のルーターを経由する大規模ネットワークには向かない」といった欠点もある。そのため、新たに構築するネットワークではあまり使われなくなっている。