画面●ジェイアイエヌが導入したデータ分析システム
画面●ジェイアイエヌが導入したデータ分析システム
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 眼鏡専門店の「JINS」を展開するジェイアイエヌがインメモリーBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを活用して、成果を上げている。担当者の勘や経験だけでなく、データに基づいて商品の売れ筋を迅速に把握できるようになり、BIツールの導入前と比べて欠品を約2割減らせた。

 ジェイアイエヌが導入したのは、クリックテック・ジャパンが開発するインメモリーBIツール「QlikView」。例えば、商品開発の担当者はQlikViewを活用し、眼鏡やサングラス、パソコン用の「JINS PC」のような機能性眼鏡といった切り口で商品の売れ行きや店舗の売上動向を分析できる。そこからドリルダウンし、約20SKU(在庫保管単位)をまとめた「カセット」と呼ばれる単位で分析することも可能だ(画面)。

 2014年3月には、現場の情報を収集・管理するサイボウズのクラウド「kintone」に蓄積したデータをQlikViewに取り込む機能を備えた「kintone Connector for QlikView」を導入。顧客の声や競合店の状況、天候といったデータと従来のPOS(販売時点情報管理)データを組み合わせて分析できる環境を整えた。ジェイアイエヌの菰田(こもだ)泰生業務革新室Eコマースグループマネジャーは「外部のデータとPOSを組み合わせて分析することで、売り上げの変動要因を的確につかめる」と話す。

 ジェイアイエヌは今後3年をメドに、こうしたデータ分析の風土を社内に根付かせるため、各部署に「分析のエバンジェリスト(伝道者)」を育成していく方針だ。分析のエバンジェリストはSQL文が書けて、ある程度のデータ連携が自らできる人材を想定する。過去に他社で半導体の研究開発を手掛けた経験を持つ菰田マネジャーが教育・研修を主に担当する。

 菰田マネジャーは「現場でデータ分析のPDCA(計画・実行・検証・見直し)サイクルが日常的に回ることが理想だ」と語る。ジェイアイエヌはデータ分析基盤と社内の風土を同時に刷新し、トップダウンではなくボトムアップでデータ活用を推進している。