ポイントはここ!

■業務アプリはプライベートクラウドで稼働、端末に重要データを残さない
■電子化した契約書や電子署名技術を用いて、契約手続きをペーパーレス化

三井生命保険

 三井生命保険は2014年10月、全営業職員にタブレット端末1万台を配布し、業務利用を始めた。

 常にタブレット端末を携帯し、訪問先で顧客に画面を示しながら商品を提案するなど新しい商談スタイルに取り組んでいる。端末は富士通製で、画面サイズが12.1インチ型と大きく、グラフや資料を写した画面を顧客と共有しやすい。

 2015年1月からは、ペン入力による電子署名などを用いて、タブレット端末だけで契約申し込みを完結できる新システムを稼働させる計画だ。プロジェクトに参画した事務統括部新契約業務開発グループの斉藤隆彦グループ長は「ペーパーレス化で顧客の申し込み事務の負担を軽減できるほか、保険会社にとっては事務コストの削減につなげられる」と目指す導入効果を説明する。

タブレット端末で「一挙両得」

 三井生命保険が営業職にタブレット端末を導入した狙いは大きく2つある。一つは「事務効率化」。契約申込書など法的に可能な書類や手続きの電子化を推し進めることで事務経費を削減する。もう一つは「営業改革」を推し進めること。営業資料作成など社外でこなせる業務を増やし、営業活動の質と量を高める。営業戦略本部営業企画部の影山豊調査役は「顧客情報の活用も含めて、営業の情報化で業務プロセスを変える必要があった」と話す。

 当初、プロジェクトはペーパーレス化を目的に事務統括部がシステム部門を交えて検討を進めていた。やがて営業部門でも「タブレット端末などを活用して、営業改革に取り組みたい」との議論が湧き起こる。そこで2011年に事務統括部に営業戦略本部が合流して、プロジェクトはタブレット端末による「一挙両得」を狙うものに拡大した。システム企画部や、システム運用を一手に担う関連会社のエムエルアイ・システムズ(MLI)も参画した。

 当時、三井生命は営業職の情報端末として画面が13.3インチ型のノートパソコンを導入したばかり。MLIから参画した開発本部プロジェクト推進室の泊口弘道室長は「当初、ペーパーレスはこのノートパソコンで推進するつもりだった」と振り返る。