OSアップデートのリスクを避ける
タブレット端末の選定は、メーカーやOSに制約を設けず「営業職から見た使いやすさを最優先で選んだ」(泊口氏)。メーカー4~5社が提案する端末6~7台を、手に取りながら評価した。
最終選考で選ばれたのは、Windowsを搭載しパソコン向けアプリも使える富士通の法人向けタブレット端末だ。営業職から特に好評だったのは「画面が12.1インチ型かつ4対3の画角比を採用し、画面を共有しやすい」(営業企画部の影山調査役)ことだ(写真1)。このサイズながら重量は914gで1kgを切る。他社にも同サイズの端末はあったが、画角比が16対9などワイド画面で「画面の端が余ったりスクロールして資料を見たりするなど、業務用途では使いにくい」と不評だった。
電磁誘導方式のタッチペンの機能も高評価を得た。手のひらなどが画面に触れてもペン操作に影響しない誤タッチ防止機能があり、本体にペンを収容できる穴も設けられている。ペンは契約時の電子署名に活用する予定だ。
候補にあった米アップルのiPadは「紙の資料を補完する使い方なら、この画面サイズがよい」との評価もあった。ただしペーパーレス化を目的にすると画面が小さいと判断された。
富士通の端末はOSにWindows 8とWindows 7が選べる。システム部門はあえてWindows 7を選択した。MLIの泊口室長はその理由を「OSアップデートのリスクを避け、アプリの安定稼働を図るため」と説明する。当時、Windows 8は「8.0」から「8.1」へのアップデートを控えており、アプリの互換性などに不安要素があった。Windows 7でも富士通の端末はタッチ操作やペン入力のドライバーソフトなどがそろっており、操作性に支障はなかった。
端末にデータを残さない
核になる業務アプリケーションは、見込み客や既存顧客の情報を幅広く管理する顧客管理システムだ。商談で聞いた顧客の家族構成などを記録し、最適な保険商品を提案するコンサルティングなどに使う。同システムに登録した顧客情報は「ライフプラン」などのサブシステムで活用する。ライフプランは、保険の支払額や受け取れる保障額などを顧客の条件に合わせてシミュレーションして分かりやすく伝えるアプリだ(写真1の下)。