センサー搭載の新型メガネ「JINS MEME(ジンズ・ ミーム)」を開発し、ウエアラブル端末の新たな境地を開拓したジェイアイエヌ。「MEMEをアプリ開発のプラットフォームにする」と語る田中仁社長は、センサーで得た情報を活用するデータビジネスにも意欲を見せる。

(聞き手は吉田 琢也=日経コンピュータ 編集長)

眼電位センサーで目の動きを検知できる新しいメガネ、「JINS MEME(ジンズ・ミーム)」の開発計画は大きな反響を呼びました。開発に至った経緯を教えてください。

田中 仁(たなか・ひとし)氏<br>1963年、群馬県生まれの51歳。88年にジェイアイエヌを設立し、代表取締役社長に就任。2001年にアイウエア事業「JINS(ジンズ)」を開始。06年に大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。11年には『Ernst&Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011』モナコ世界大会に日本代表として出場した。13年に東京証券取引所第一部に上場。(写真:新関 雅士)
田中 仁(たなか・ひとし)氏
1963年、群馬県生まれの51歳。88年にジェイアイエヌを設立し、代表取締役社長に就任。2001年にアイウエア事業「JINS(ジンズ)」を開始。06年に大証ヘラクレス(現JASDAQ)に上場。11年には『Ernst&Young ワールド・アントレプレナー・オブ・ザ・イヤー2011』モナコ世界大会に日本代表として出場した。13年に東京証券取引所第一部に上場。(写真:新関 雅士)

 メガネが登場したのは約700年前だと言われています。この間に素材やレンズが進化しましたが、視力を矯正するという基本機能は全く変わっていません。

 黒電話がスマートフォンに変わったように、メガネの歴史よりもずっと短い間に劇的な変化を遂げたものがある。だったらメガネにも可能性があるんじゃないか。そう考えて開発したのが、液晶ディスプレイから目を保護する機能を持つ「JINS PC」や、保湿機能を備えた「JINS Moisture」です。

 これらの商品開発と並行して、もっと革新的なメガネが作れるはずだと、社外の方々も交えて議論を重ねました。その中で東北大学加齢医学研究所長の川島隆太教授から、眼の動きによって生じる電位差である眼電位のことを教えていただいたのです。