製品やサービスなどに問題が生じた際に、ユーザーが駆け込むコンタクトセンター。ユーザーが実際に話しをするオペレーターの対応1つで、ユーザーがその企業に持つイメージが大きく変わるので、コンタクトセンターが担う役割は重要だ。

 コンタクトセンターは今後どうなっていくのか。AIなどを利用して徹底的に自動化するのか、もしくはピンポイントで問題解決できるように人を育てるのか、今が分かれ目とコンタクトセンターおもてなしコンソーシアム(COC)代表理事でイースマイル代表取締役CEOの齊藤勝氏は語る。人をスペシャリストとして育てれば、サービスに真面目に取り組む企業として競争力向上にも直結するという。

(聞き手は木村 知史)

コンタクトセンターはコールセンターと呼ぶのが一般的だと思うのですが、なかなか市場規模などが分かりません。

齊藤 勝(さいとう・まさる)氏
齊藤 勝(さいとう・まさる)氏
コンタクトセンターおもてなしコンソーシアム(COC)代表理事/イースマイル代表取締役CEO 東京入谷生まれ。大学卒業後、アラビア語を学び、外務省、在バーレーン日本大使館に勤務。帰国後は、民間企業でCRMビジネスを学び、国内外の様々な手法を経験。コンタクトセンターコンサルタントとしての独自スキルを磨く。

齊藤:コンタクトセンターは、確かに比較的新しい業界だと思います。その市場は、1.1兆円ぐらいと言われていますので、1兆円クラスに入っています。

 私が代表理事を務めるコンタクトセンターおもてなしコンソーシアム(COC)は、NPO(非営利法人)として2013年3月に正式に認可を受けたので、3期目という状況です。ただし、2011年から準備活動は行っていました。

2020年の東京五輪誘致が正式に決定したのが、2013年9月ですから、“おもてなし”という言葉を使ったのは、COCの方が早いですね。

齊藤:そうですね。おもてなしという言葉にフォーカスが当たったのは、ありがたいことです。コンタクトセンターというと、あまり日の当たる存在ではないので。

 COCは、そういった縁の下の力持ち的な存在であるコンタクトセンターの規模を拡大していくと共に、抱えている課題を克服することを、その活動の目的としています。

 中でも、生涯職業化推進と雇用機会の拡大ということには力を入れています。この業界の課題として、非正規雇用が非常に多いということがまず挙げられます。

どれぐらいの方が非正規雇用なのでしょう。

齊藤:コンタクトセンターで働く方を、一般にはオペレーターという呼び方をしていますが、日本ではだいたい7割強ぐらいのオペレーターが非正規雇用です。米国や欧州では、この割合が半分以下になって、正規雇用で働いている方が中心で営まれている業界となります。

 これがいいか悪いかは別としても、日本では業績の調整弁みたいになっているところがあり、結果としては正規雇用がなかなか促進されません。オペレーターの方は女性が中心で、結婚や出産を機にこの業界から辞めていってしまいます。せっかくいろいろノウハウが積み上がっているにも関わらずです。そこを何とか生涯職業化にできればと活動しています。