2011年に公表した経営戦略「ビジョン2015」に基づき、クラウドやグローバル事業の拡充を進めるNTTコミュニケーションズ(NTTコム)。ここに来て3期連続で連結最高益を更新するなど、結果が伴ってきた。今後のクラウド戦略や、NTT東西のサービス卸を活用した新サービスの可能性などを有馬社長に聞いた。

(聞き手は加藤 雅浩=日経コミュニケーション編集長)

社長就任から4年が経過した。直近の通期決算は6期ぶりの連結増収、3期連続の連結最高益と好調だ。自己採点を教えてほしい。

有馬 彰(Akira Arima)
有馬 彰(Akira Arima)
1949年生まれ。神奈川県出身。一橋大学商学部卒。NTT東日本取締役経営企画部長、NTT取締役などを経たのち、2007年6月にNTTコミュニケーションズ代表取締役副社長ネットビジネス事業本部長。2010年6月に代表取締役社長に就任。趣味はジョギング、ウォーキング、ボート、ゴルフ、ラグビー観戦(NTTコムのラグビーチーム、トップリーグ所属のシャイニングアークス)。休日の約10kmのジョギングは10年以上継続中。座右の銘は「ベストを尽くすのみ」。(写真:都築 雅人)

 点数は功罪半々の50点くらいだ。

 6年かかったが、国内の減収分を海外の増収分で補えるようになった。為替の効果も大きかったが、2013年度は為替を除いても増収だった。成長性の高いクラウドというマーケットに参入したことがよかった。

 基本的に我々の戦略はクラウドをトリガーにして企業ユーザーのICT全体のサービスに入り込むというもの。ICTシステムは既存ベンダーががっちり握っており、何かトリガーがなければ後から入るのは難しい。

 クラウドの世界は相当なスピード感がある。これについて行かないと生き残れない。実際、キャリア(通信事業者)の強みを生かせなければ、米アマゾンなどには勝てない。クラウドという以上、ネットワークとの接点は必ず出てくる。サーバーとネットワークの連携をいかに保つのかはクラウド事業者も苦労している。そこを両側からチューンナップできるのは我々の強みだ。今後はVPNとクラウドの接続を自動化し、同じポータルでWANとVM(仮想マシン)を設定できるようにする。

 今、当社の営業フロントは提案にAWS(Amazon Web Services)を入れたいとしきりに言ってくる。決断はまだだが、いずれ対応せざるを得ないだろう。ただしKDDIのようなリセラーの形ではなく、AWSに薄皮をかぶせて当社のポータルと一体的に使えるようにしたい。