世界有数の通信事業者(メガキャリア)である米ベライゾン・コミュニケーションズ。市場環境が激変する中、通信事業者としての針路をどのように考えているのか。米国市場に参入したソフトバンクの印象を含め、司令塔であるマクアダム会長兼CEOに聞いた。

(聞き手は加藤 雅浩=日経コミュニケーション編集長)

ローウェル・マクアダム氏(Lowell C. McAdam)<br>1954年生まれ。米国ニューヨーク州出身。米サンディエゴ大学にて経営学修士号取得後、米海軍土木工兵として6年間勤務。1983年米バシフィック・ベル入社、1993年まで数々の要職を歴任。1993年、米エアタッチに国際部門のアプリケーションおよび運用担当エグゼクティブディレクターとして入社し、米エアタッチ・コミュニケーションズの国際事業担当副社長などの要職を歴任。米ベル・アトランティックと米ボーダフォン・エアタッチの合弁会社である米プライムコ・パーソナル・コミュニケーションズにてCOO、その後社長兼CEOを務める。2000年より米ベライゾン・ワイヤレスにおいて数々の要職を歴任後、2007年に同社取締役副社長兼COO、その後同社の社長兼CEO。2010年10月から米ベライゾン・コミュニケーションズの社長兼COO(最高執行責任者)、2011年8月1日付CEO、2012年1月1日付けで会長に就任。現在に至る。
ローウェル・マクアダム氏(Lowell C. McAdam)
1954年生まれ。米国ニューヨーク州出身。米サンディエゴ大学にて経営学修士号取得後、米海軍土木工兵として6年間勤務。1983年米バシフィック・ベル入社、1993年まで数々の要職を歴任。1993年、米エアタッチに国際部門のアプリケーションおよび運用担当エグゼクティブディレクターとして入社し、米エアタッチ・コミュニケーションズの国際事業担当副社長などの要職を歴任。米ベル・アトランティックと米ボーダフォン・エアタッチの合弁会社である米プライムコ・パーソナル・コミュニケーションズにてCOO、その後社長兼CEOを務める。2000年より米ベライゾン・ワイヤレスにおいて数々の要職を歴任後、2007年に同社取締役副社長兼COO、その後同社の社長兼CEO。2010年10月から米ベライゾン・コミュニケーションズの社長兼COO(最高執行責任者)、2011年8月1日付CEO、2012年1月1日付けで会長に就任。現在に至る。
(写真:新関 雅士)

2013年の業績は増収増益。その要因をどう見ているか。

 我々がユーザーに密接なビジネスを進め、率先した投資が効いたと分析している。例えばLTE(Long Term Evolution)への投資が挙げられる。ユーザーが無線の高速化を望むことを見越して、2008年から進めてきた。投資を先行したことで競合他社に対して有利となり、利益に大きく寄与した。加えて経営の広い領域で、品質管理手法のシックス・シグマを使った。これによるコストカットなどで2013年だけで60億ドルも削減できた。

米国のモバイルの競争状況について聞きたい。ベライゾン・ワイヤレスとAT&Tモビリティという2強に対し、最近はT-モバイルUSが元気だ。ソフトバンク傘下となったスプリントも動きが活発化している。

 スプリントとT-モバイルUSはこの10年間、ネットワークに十分な投資をしていない。最近の調査でも指摘されているが、この2社がしっかりとしたネットワークを作るにはあと数年かかるだろう。両社が投資を怠ってきた間、我々は絶え間なく投資を続けてきた。当然これまでのポジションを守り、引き続きネットワークへの投資を続けていく。

 さらにベライゾンには新たなソリューションを生み出す資産がある。例えばヘルスケア業界はコンプライアンス(法令順守)が厳しいが、こうした要件を満たすセキュアなクラウドを我々は保有している。他社にはこうした資産がない。