米InterCallの日本法人であるインターコール・ジャパンは、電話やWeb会議などのUC(統合コミュニケーション)システムを導入/運営するための支援サービスを提供しているUCサービスベンダーである。UCのサーバー基盤となるプラットフォーム/ネットワークサービスの提供を中核に、どのUC製品を組み合わせるべきかのコンサルティングや、他社製品を含めたUC製品全般の販売などを手がける。同社のプラットフォームサービスの特徴は、プロトコル変換などによって、本来であれば接続が難しい各社の異機種UC端末やUCアプリケーション同士をつないだUCシステムを構築できること。日経コンピュータは2014年12月12日、同社の代表取締役に、同社の事業内容について聞いた。

(聞き手は日川 佳三=日経コンピュータ


UC事業者としてユニークな部分は何か。どんな事業なのか。

写真1●インターコール・ジャパン代表取締役のJarret Schmidt(ジャレット・シュミット)氏
写真1●インターコール・ジャパン代表取締役のJarret Schmidt(ジャレット・シュミット)氏

 理想的なUC(統合コミュニケーション)システムは、異なるベンダーのUC端末や各社のUCアプリケーション同士を自由に組み合わせ、これらの間で相互に音声/ビデオなどをやり取りできるようにしたシステムだ。

 例えば、米Cisco Systemsや米PolycomのUC端末、米MicrosoftのLyncや米GoogleのハングアウトなどのUCアプリケーションがある。デバイスも、UC端末のほか、パソコンやタブレット、スマートフォンなどがある。

 各種のUC製品/サービスを組み合わせたUCシステムであれば、時間、場所、デバイスを問わずに、各人が最も利用しやすい手段で、他者とコミュニケーションをとることができる。

 なおかつ、こうした理想的なUCシステムを、ユーザー企業が自ら作り上げるのではなく、サービスを利用する形で簡単に使えるようにすることも重要だ。

 米InterCall(インターコール・ジャパンは日本法人)は、こうした理想的なUCシステムをユーザー企業が構築して運用するための事業を行っている。

具体的な事業内容は。

 以下の三つの事業を手がけている。

  1. 異機種UC端末や各種UCアプリケーションを組み合わせたUCシステムを提案/設計/構築するコンサルタント業
  2. UCサーバーのプラットフォームをネットワークサービスとして提供しているUCaaS(サービスとしてのUC)サービス事業
  3. 異機種UC端末や各種UCアプリケーションの販売代理業

 ユーザー企業に対して、まず第一にコンサルタント業の立場をとっている。ユーザーの要求を聞いて、異機種のUC製品/サービスを理想的な形で組み合わせ、インテグレーションして提供する。コンサルタントであるとともに、UCシステムの構築に必要なUC製品/サービスの販売代理店を兼ねている。

写真2●IICPについて説明する、UC戦略-アジアパシフィック部門シニアマネージャーのChristopher Franke(クリストファー・フランキー)氏
写真2●IICPについて説明する、UC戦略-アジアパシフィック部門シニアマネージャーのChristopher Franke(クリストファー・フランキー)氏
[画像のクリックで拡大表示]

 中核事業は、UCサーバーのプラットフォームサービスである「IP Conferencing Platform」(IICP)になる。直接つなぐことができない異機種のUC端末やUCアプリケーションであっても、これらをIICPにつなぐことで通信できるようになる。これを提供していることが、他のUCサービス事業者と比べたユニークな点だ。

 IICPは、50万ポートを収容したSIPサーバーのインフラをベースにしており、この上に、H.323とのプロトコル変換インタフェースや、Microsoft Lyncなど各種サービスとデータをやり取りするための機能を構築している。

 米InterCallはUC市場では大きな存在だ。2013年の実績では、世界全体で電話会議に費やされた時間のおよそ3分の1に当たる250億分が、米InterCallが手がけたものだ。また、のべ人数で世界人口のおよそ10分の1に当たる7億人が、米InterCallが手がけたUCシステムを利用した。

プラットフォームサービスのIICPのほかに、独自性はあるか。

 電話会議やWeb会議といった会議サービスや、多人数への映像配信といったイベントサービスなど、典型的なUCの用途に応じて、UC製品/サービスの推奨モデル構成をパッケージ化している。ユーザー企業の個別要件を広くカバーしながら、すでに製品の組み合わせなどの知見が得られたパッケージとして提供できるのだ。

 例えば、「電話会議」では、UC製品としてInterCallの「Reservationless-Plus」などを使う。「音声/Web会議」では、Intercallの「Unified Meeting 5」や、「Cisco WebEx」、「Adobe Connec」などを使う。「テレビ会議」では、Blue Jeans Networkの「Blue Jeans」などを使う。