政府の新成長戦略に盛り込まれるなど注目を集めるロボット産業とプログラミング教育。そうした動きを見据えてか、学校教材大手のアーテックはロボットプログラミングの教材である「ロボティスト」を2014年から本格的に提供し始めている。ロボットプログラミング教材を提供する狙いと教育現場でどのように取り入れられつつあるのかを、ロボティストのハードウエアとソフトウエアをそれぞれ担当する企画室 開発チームの井上天平氏と川瀬賢二氏、導入現場の最前線を知るアートテクノ事業部営業課次長の高畠隆蔵氏に聞いた。

(聞き手は田島 篤=出版局)


写真1●企画室 開発チームの井上天平氏(右、ハードウエア担当)と川瀬賢二氏(左、ソフトウエア担当)、アートテクノ事業部営業課次長の高畠隆蔵氏
写真1●企画室 開発チームの井上天平氏(右、ハードウエア担当)と川瀬賢二氏(左、ソフトウエア担当)、アートテクノ事業部営業課次長の高畠隆蔵氏
[画像のクリックで拡大表示]

ロボットプログラミングの教材であるロボティストを開発した狙いは。

高畠:元々、弊社が2012年に発売した「アーテックブロック」という縦・横・斜めに連結できる知育ブロックがあり、このブロックを活用した新たな展開を検討していました。同じタイミングで中学校の新学習指導要領で「プログラムによる計測・制御」が必修となり、近い将来、小学生もプログラムを学ぶ時代がくることが明確に見えてきました。そこで、各分野でリサーチを行ったところ、まさに今求められているのが、小さな子どもたちでも簡単にロボット作りができるキットであるということが分かったのです。このニーズを受けて、自由に組み替えて好きな形を作れるアーテックブロックと、ねじ止めやはんだ付けを行わずにジョイントできる電子パーツを組み合わせたロボットキットの開発に着手しました。

ロボティストでは、アーテックブロックや各種センサー、コンピュータ基板( Arduino互換のStuduino)を使ってロボットを組み立てて、それをプログラミングにより自律的に動かすことができます。現在、中学校では試験的に導入してもらっているところが多いのですが、中学校よりも工業高校を含む高校、高専、大学での導入が進んでいます。

中学校での導入では価格が課題になりそうですね。

高畠:そうですね。中学校での計測と制御では一般に、生徒一人当たり3000円程度の教材を使って12~15時間かけて教えることが多いです。ロボティストの価格は約3万円なので、一人1台というわけにはいきません。そのため現時点では、学校の備品として導入してもらっているケースが多いです。備品として4人に1台みたいな形で導入していただき、グループ学習で使ってもらっています。ただ、従来のロボットプログラミング教材は5~6万円なので、それよりは安いです。ロボティストはこれまでより手軽に導入できる教材として導入してもらっています。

写真2●ロボティストで作ったロボットの例。これは拭き掃除をするロボット掃除機をイメージした作例である
写真2●ロボティストで作ったロボットの例。これは拭き掃除をするロボット掃除機をイメージした作例である
[画像のクリックで拡大表示]