Google Cloud Platform(GCP)の専業ベンダーとして2016年11月1日に設立したクラウドエースの吉積礼敏代表取締役。米グーグルのサービスに惚れ込み、GCPの東京リージョンが開設する以前からクラウドエースの親会社である吉積情報で、GCPを使った業務システムの構築サービスなどを提供してきた。同氏が惚れ込むのが、GCPのPaaS(プラットフォーム・アズ・ア・サービス)であるGoogle App Engine(GAE)だ。

(聞き手は広田 望=日経コンピュータ


クラウドエースの吉積礼敏代表取締役
クラウドエースの吉積礼敏代表取締役
[画像のクリックで拡大表示]

Google App Engine(GAE)の利点をどう評価しますか。

 開発したシステムを全て米グーグルが運用してくれることに尽きる。GAEの運用には、「Borg」と呼ばれるグーグルが開発したコンテナ技術が使われているという。システムへのアクセスが増えてきたら自動的にスケールする。万が一サーバーが壊れてシステムが止まっても、すぐに別のサーバー上にシステムが立ち上がる。設定項目はほとんどなく、全てBorgが自動で運用する。

 データベースの運用も全て自動だ。「Datastore」と呼ぶNoSQLのデータベースが設定せずにGAEから使える。ほかにも、システム構築に必要な機能が一通りそろっている。

 吉積情報が提供しているシングルサインオン機能を提供するSaaS(ソフトウエア・アズ・ア・サービス)である「綱吉」はGAEで運用している。開発したのは6~7年前。これまでほとんど運用らしい作業をしていない。あえて運用作業を挙げれば、ログを保存し続けているぐらいだ。

2016年11月に東京GCPリージョンが開設して、同リージョンでGAEが動くようになりました。

 米国のデータセンターまでアクセスしていた時に比べて、遅延が大幅に改善した。実はアジアで東京より先に稼働していた台湾リージョンでGAEは使えない。アジアにGAEが来たのは今回が初めてだ。

 「日本にGAEを持って来い」と言い続けた甲斐があった。米国のGCPイベントに招待されるたびに、グーグルでGAEを担当しているエンジニアを捕まえて1時間ぐらい東京でサービス提供するように説得し続けた。東京にGAEがやってきたのは、自分のお陰だと自惚れている。