米アピリオはクラウド(Cloud)関連のコンサルティング事業のほか、システム開発向けのクラウド(Crowd)ソーシングである「topcoder」を運営している。クラウド(Cloud)は、米セールスフォース・ドットコム、米ワークデイ、米コーナーストーンオンデマンドなどと組んで事業を進める一方、クラウド(Crowd)事業であるtopcoderは世界中から約70万人の開発者が登録しており、システム開発の新たな発注先として注目されている。topcoderの人材を活用したい企業は、要件をtopcoderのコミュニティに提示し、賞金を出すコンペを開催する形で成果物を募る。topcoderの事業について、同社セールス担当バイス・プレジデントのアレックス・ブライ氏に聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=日経コンピュータ


米アピリオ セールス担当バイス・プレジデントのアレックス・ブライ氏
米アピリオ セールス担当バイス・プレジデントのアレックス・ブライ氏
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topcoderの目的は。

 現在、topcoderには約70万人の“トップタレント”が登録している。topcoderには三つの目的がある。一つはイノベーションのスピードを加速すること。二つめが、トップタレントの頭脳を活用するためのアクセスを確保すること。そして三つめは、そうした人材を即座に活用することでスケーラビリティを得ることだ。

 アピリオは多くの企業のソリューション展開に関わっているが、それを達成するためのスパンは、これまでは月単位、年単位だった。それが今は日単位、週単位に加速している。それを可能にするのが、topcoderのようなクラウドソーシングだ。

 今、世界的に人材の確保が課題となっている。組織が有能な人材を活用したいと思っているとき、人材プールがそのスピードに追い付いていない。我々はトップの有数の頭脳70万人を活用して、企業の様々な取り組みを可能にしていく。

 人材プールという点で日本は重要な拠点で、データサイエンス、アルゴリズムといった専門領域の人材の宝庫だ。データサイエンスの分野で素晴らしい頭脳がそろっている。約70万人の人材プールと言ったが、その中の1万人は日本からの登録者だ。

 毎年、topcoderの登録者の中のトップ100に入るようなデザイナー、開発者、データサイエンスの専門家が集う「tco(topcoder open)」というイベントを開催している。それぞれの分野で課題解決を競うイベントで、これまでアルゴリズムの分野ではトップ8人中、3人は日本人が占めている。

企業はどのようにtopcoderを利用するのか。

 企業がビジネス上で「こういった課題がある」「ニーズがある」「これを解決したい」と思った場合、それらを小さなタスクに分割して、コンペという形でtopcoderのコミュニティに投稿する。投稿することでtopcoderの参加者がそれを見ることができる。

 コミュニティの中で、「ぜひ私はそこに参加したい」「この課題解決に一役担わせてくれ」とtopcoderの登録者が手を挙げて、そうした開発者同士がコンペをする。ビジネス上の課題が解決した暁には、コンペの上位入賞者に賞金が渡される仕組みになっている。アピリオは、こうした場、プラットフォームを提供する役割を担っている。