ビッグデータが話題になって久しいものの、どのようにビジネスにデータ分析を取り入れればよいか、なかなかきっかけがつかめない企業も多い。業務におけるデータ分析への取り組み方について、マーケティング関連のコンサルティングを行うギックスでビッグデータ事業を担当する花谷慎太郎取締役(写真)に聞いた。

(聞き手は西村 岳史=日経コンピュータ


「ビジネスにデータ分析を取り入れたいが、何から手を付けてよいか分からない」という声がある。

写真●ギックス(GiXo)取締役ビッグデータ事業担当 花谷慎太郎氏
写真●ギックス(GiXo)取締役ビッグデータ事業担当 花谷慎太郎氏
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 「データ分析」といってもあまり構えない方がいい。モデルを作る、データマイニングする、統計分析をするなど、いろいろと言われているが、手元にあるデータを表計算ソフトでまずは集計してみるくらいの気軽さで取り組むとよい。

 最も重要なのは、ビジネス上の課題を解決するという視点を持つことだ。データ分析を始めたい人は、大きく2パターンに分かれるように思う。一つは、統計を勉強してきた、分析が得意だとする人。もう一つは、業務で問題を抱えていて数字を基にした新しい見方を得たいとする人だ。

 前者の場合、データ分析を始めても、習ってきた手法やアルゴリズムに頼ってしまい、ビジネス上の視点を見失いがちになる。分析手法はすごいけれども、得られた結果をどう使ってビジネスに結びつけるかが明確にならない。意義あるデータ分析を進めやすいのは後者だ。既に問題意識を持っているので、後はデータを使ってその問題をどう見るかを考えればいい。

何を指標にしてデータの集計をすればいいのか。

 仮説を立てることだ。例えば、ギックスが手掛けることの多いPOS(販売時点情報管理)、ID付きPOSの分析なら、顧客の購買行動の仮説を立てる。仮説の裏付けが得られそうな集計を繰り返すことで傾向が見えてくる。

 単純な集計でも、データの中に眠っている傾向はつかめる。データを分析すると、「それはそうだよね」という結果が示されることがある。経験的に感じていた傾向が、データでも裏付けられるわけで、これはこれで意味がある。

 初めはあまり定型で分析することを意識しない方がよい。以前は、大量のデータを扱うおうとするとシステムを作って処理しなければ分析できなかったが、今は情報機器の性能が上がり、大きなデータでも手元で分析できるようになった。定型かどうかよりも、ビジネス上の課題を意識して向き合うことが大事だ。

 データ分析は、業務におけるナビゲーションのようなものだ。結果に全面的に頼るのはどうかと思うが、分析をしておけば意思決定や合意形成のスピードが上げられるようになる。