2007年に起業したウェブサイト簡易作成サービスを提供する独Jimdo GmbHの「Jimdo(ジンドゥー)」。ブラウザー経由で直感的にデザインできる利便性が受け、現在、世界中で1200万アカウントが開設されている。同社は2009年にKDDIウェブコミュニケーションズと協業して日本市場でもサービス展開をスタート。日本では全国38カ所に「Jimdoカフェ」と呼ぶ草の根的に広がった情報交換の場ができており、ITリテラシーに関わらずユーザー間でサポートし合う環境が整いつつある。来日したジンドゥー創業者、フリジオフ・デヅナー氏に話を聞いた。

(聞き手は原 隆=日経コンピュータ)

独Jimdo GmbH創業者のフリジオフ・デヅナー氏
独Jimdo GmbH創業者のフリジオフ・デヅナー氏
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Jimdoの現状について伺いたい。

 現在、1200万のアカウントが開設されており、ユーザー数が最も多いのは母国であるドイツ、2番目が日本になる。9カ国語の言語に対応しているが、190カ国以上に利用者がいる。有料会員の数は非公開だが、ドイツ、日本、スイスに有料会員数が多く、南米や中国、東南アジアは比率が低い傾向がある。

 有料会員への移行のきっかけで最も多いのは独自ドメインの取得だ。これはある意味、本格的に取り組む意思表示と言える。これまでは無料プランと有料プランで利用できるデザインテンプレートの種類に差があったが、2014年8月のリニューアルをきっかけにこの差を無くした。今後、独自ドメイン取得が大きな有料プラン移行へのきっかけになるだろう。

 日本のアカウント数は80万だ。1200万のうち80万と聞くと少なく聞こえるかもしれないが、日本は特殊だ。まず、ユーザーコミュニティの存在が極めて強力で、「Jimdoカフェ」と呼ばれる寺子屋のような存在がある。これはコワーキングスペースを作ってお客さんを呼び、教育するというもの。利用者の本気度が他国と比べても高い。来日するたびにこうした日本での取り組みを目の当たりにしている。こういう知見をドイツに持って帰り、全世界に広めている。我々が重視するのは数ではなく密度だ。

リニューアルした目的は。

 きっかけはJimdoのiPhone向けアプリとの機能差の乖離だ。もともと、2年半前からタッチスクリーンでウェブサイトを作れるように改変に取り組んできたが、開発にはかなりの時間を要した。ようやく満足いくレベルに達したが、今度はアプリのUX(ユーザー・エクスペリエンス)とウェブアプリケーションの乖離が激しくなってしまった。この体験をインテグレートしなければならないため今年の夏に大きくリニューアルしたわけだ。

 昨今ではモバイルのアクセスが増えており、Jimdoにおいても昨年と今年で大幅に状況が違う。そのため有料プランと無料プランでも一切、差が無いように、無料でもモバイル版を利用できるようにしている。