2005年に創業した、クラウドサービスを提供する米Box(ボックス)。2014年6月にBox Japanを立ち上げ、日本で正式にサービスを開始。現在、世界中で24万社の顧客企業、2700万人の利用者を抱えている。同社が提供するサービス「Box」の特徴はスマートフォン、パソコン、タブレットなど様々な端末からファイルをアップロードしたり、ダウンロードしたりできるほか、きめ細やかな管理機能を備えていること。さらに、今年9月には産業別にパッケージ化した「Box for Industries」を発表するなど、次々とエンタープライズ領域への事業拡大を図っている。同社のダン・レビンCOO(最高執行責任者)に話を聞いた。

(聞き手は原 隆=日経コンピュータ


写真●米BoxのCOO(最高執行責任者)、ダン・レビン氏
写真●米BoxのCOO(最高執行責任者)、ダン・レビン氏
Boxの前は米インテュイットで6年在籍し、スモールビジネス部門担当シニアバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャーなどの役職を担当。プリンストン大学で統計データ解析のためのコンピューターグラフィックス応用の学士号を取得している。
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米マイクロソフトが米国時間の10月27日、Office 365の利用者に対してOneDriveのストレージ容量を無制限にすると発表した。影響は。

 私たちはストレージを売っているわけではない。コラボレーションサービスを売っているのであって、その一環として利用者がファイルを保存しているに過ぎない。エンタープライズの顧客に対し何年も前から無制限のストレージを提供している。

 マイクロソフトのOneDriveは素晴らしいプロダクトだが、エンタープライズ領域で成功する上で大変重要な機能が欠落している。こうした機能を提供しているからこそ我々のサービスを企業が選択してくれているのだ。競合他社が提供しているストレージ容量は別段気にもならない。Windowsを利用しているユーザーにはOneDriveが無料で提供されている。それでも企業がBoxを利用するのは、彼らのニーズをOneDriveが満たしていない証左だ。

マイクロソフト以外にもグーグルなど競合は多い。改めてBoxの優位性について伺いたい。

 従来、企業は使いやすく、セキュアで、それでいて拡張性のあるプロダクトを選択する必要があった。もちろんコンシューマープロダクトだって使えるが、エンタープライズアプリケーションとは統合性がなく、管理統制も効かない。コンテンツマネジメントテクノロジーという代替案もある。日本ではカスタマイズされたコンテンツマネジメントツールがよく使われている。だが、これらのツールは使い勝手悪く、新しい仕事の仕方をサポートしているわけではない。

 米ジフ・デービスが発行する「PC Magazine」がAndroid向けアプリのファイルシェアリングサービスの調査をしたところ、Boxがベストだという結果を出した。これはいわゆる使いやすいコンシューマーアプリケーションとして選ばれたわけだ。我々の提供するアプリケーションはほかの消費者向けアプリと比べても使いやすいということを示している。

 それだけではない。Boxは超大手企業が求める管理統制機能やセキュリティ環境、高度なコンテンツマネジメントの機能も提供している。Boxを採用している企業はコンシューマー分野における使い勝手、そしてエンタープライズ分野に必須な管理統制、セキュリティ、コンテンツマネジメント機能といった、2つの世界のベストな部分をそこに見出している。これこそが我々の競争力だ。