レノボ・ジャパンは2014年10月8日、企業向けノートPC「ThinkPad」シリーズの一部をNECパーソナルコンピュータの米沢事業場(米沢工場)で生産すると発表した。レノボ製のPCは、これまでは中国で生産し、日本へ向けて出荷していた。一部モデルを国内生産に切り替える狙いについて、レノボ・ジャパンで直販を担当する河島 良輔ディレクター/事業部長(写真)に聞いた。
具体的にはどの製品を国内で生産するのか。
「プレミアムモデル」と位置付けている「ThinkPad X1 Carbon」や「ThinkPad T」シリーズだ。基本となる部品は中国で生産し、ドライブやメモリー、ディスプレイ、各種インタフェースなどを注文に応じて米沢事業場でカスタマイズする。これまではカスタマイズも中国で行い、日本に運んでいた。2015年1月~3月のどこかのタイミングで米沢でのカスタマイズに切り替える。
この計画はいつ頃から検討していたのか。
NECとレノボが合弁企業を作ってから1周年のときに、米沢事業場でレノボ製品を作るという意向は表明していた。その後、2012年秋に出したThinkPad 20周年記念モデルは米沢で生産した。その前後から、米沢でThinkPadを作れないかと継続して検討していた。時間がかかったのは、慎重に見極めていたためだ。
米沢工場でカスタマイズする理由は。
納期の短縮だ。現在、カスタマイズした製品の納期は、およそ2週間。これを1週間前後にしたい。米沢で組み立てているNECの直販モデルの納期はおよそ1週間だ。ThinkPadもこれに近づけられると思っている。納期を短くすれば、販売機会の損失が減り、売り上げを伸ばせる。
オンラインでThinkPadを購入するのは、法人の小規模導入や熱心なファンだ。これまでは「時間がかかるなら、買うのをやめよう」といったように、納期の長さが機会損失につながっていた面がある。納期が1週間になると、このあたり(のユーザーの意識)はだいぶ変わる。
国内で組み立てるとコストが上がるのでは。
そうした面はあるが、輸送コストの削減や納期短縮で想定される売り上げの伸びなどを総合的に考えると、十分にカバーできる。米沢事業場は元々、変更に柔軟に対応できる体勢になっていた。今回のThinkPadのカスタマイズ開始でも、「投資」と呼ぶほどの大がかりなことはしていない。