2016年9月7日に企業向けバックアップソリューションの新版「Acronis Backup 12」、9月14日には個人向けバックアップソフト「Acronis True Image 2017」を発表したアクロニス・ジャパン。個人向けはモバイル機器向けバックアップ機能の改良やSNSからのバックアップなど機能を強化する一方で、クラウドストレージへの容量無制限バックアッププランを取りやめるなどラインアップを大幅に変更した。新版の狙いと、国内の市場動向について同社の大岩憲三代表取締役に聞いた。

(聞き手は西村 岳史=ITpro

アクロニス・ジャパン 大岩憲三代表取締役
アクロニス・ジャパン 大岩憲三代表取締役
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個人向けの製品はラインアップを大幅に変更した。「容量無制限」をやめた理由は。

 True Imageは買い切り型のアプリケーションとしての販売と、クラウドストレージサービスとセットにしたサブスクリプション型の販売の2種類ある。サブスクリプション型で「容量無制限」のプランを提供していたが、PC1台、モバイル機器3台で年額9980円など価格面での魅力が若干足りなかった。実際のところ容量無制限のプランであっても1TBを超えるデータを保存していたユーザーは一握り。ほとんどのユーザーは多くても数百GBにとどまっていた。

 そこでバージョンアップを機にラインアップを整理した。具体的には、250GB、500GB、1TBと容量の上限が異なる複数のプランに細分化し、容量が少ないプランは価格を下げた。PC1台、モバイル機器無制限で250GBは年額4980円、1TBでも7980円と、ニーズの高い容量がお買い得になるようにした。他社のクラウドサービスの容量1TB使用権の年額と比べてもらうと分かるが、お得感があるはずだ。

 具体的な数は明らかにできないが、1TBを超えて使っているユーザー数は、今回の事情を個別に説明することもできるほど少なかった。99%のユーザーには納得してもらえる価格になっていると思う。

クラウドサービスの利用は増えているのか。

 世の中全体では、ソフトウエアもサブスクリプション型に移行しつつある。アクロニスでは、まだ買い切り型のアプリケーションのユーザーが多いが、クラウドサービスの利用も増えつつある。サブスクリプション型は、常に最新のバージョンのアプリケーションが使える点もメリットだ。

昨年のバージョン、今年のバージョンとモバイル対応の強化が続いている。その理由は。

 データは新しいほど価値が高い。ここ数年でスマートフォンが爆発的に普及し、様々な使われ方をするようになった。個人の場合、写真や映像、コミュニケーションの記録など、最新のデータはスマートフォンに集約されている。紛失や破損などでデータが無くなると、影響は大きい。

 従来のバージョンもモバイル機器には対応していた。しかし、バックアップという行為は面倒くさいと思われがち。手間と時間はかけたくないので、ケーブルでPCとつないで作業するとなるとなかなかバックアップしてもらえない。今回のバージョンは、無線でPCとつなげてバックアップできるようにした。「簡単さ」は極まったと思う。