写真●OpenStack FoundationのCommunity Manager、Tom Fifield氏
写真●OpenStack FoundationのCommunity Manager、Tom Fifield氏
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 オープンソースのクラウド基盤構築ソフトウエア「OpenStack」。その開発プロジェクトの主体であるOpenStack FoundationのCommunity Manager、Tom Fifield氏がこのほど来日。ユーザー企業のOpenStack導入の実態や、OpenStack開発プロジェクトについて聞いた。

(聞き手は森重 和春=日経Linux

OpenStack FoundationにおけるCommunity Managerの役割は。

 OpenStackのコミュニティーには、世界140カ国に1万6000人を超える登録メンバー、そして2000人以上の開発者がいる。米国のテキサスで始まったプロジェクトだが、今や最も開発者が多いのは中国の北京だ。メンバーが所属する企業も、文化も異なる。その多様なコミュニティーをまとめるのが役割だ。

 所属企業が異なれば、ある機能の開発を早いと感じる人もいれば、遅いと感じる人もいる。意見がぶつかることもある。ただし、OpenStackをより良いプロダクトにしていくという目的は一致しており、問題なくプロジェクトは進んでいる。

日本国内でもOpenStackへの注目は高まっている。ユーザーはOpenStackのどこに価値を感じているのか。

 OpenStack Foundationでは、6カ月ごとにユーザーに対する調査を行っている。OpenStackを使う理由の第1位はコスト削減だ。そして2番目がオペレーションの効率化。企業はITリソースの利用をもっと俊敏に行いたいと考えており、それを実現するのがOpenStackだと捉えている。

 そのほか、オープンソースでありベンダーロックインがないこと、多数のプラグインによりどのベンダーの製品でも使うことができることも大きなメリットだ。

IaaS(Infrastracture as a Service)の基盤であるOpenStackのユーザーは超大手の企業やクラウドサービス事業者に限られるのではないか。

 そんなことはない。OpenStackのプレゼンテーションで紹介される事例は誰でも知っているような大手企業が多いのは確かだが、小規模な企業でもたくさん使われている。先日オーストラリア・シドニーでのカンファレンスの際にあるWebデザイナーと話したのだが、6~7人の会社でOpenStackを導入しているという。小規模な企業でも、OpenStackの良さは享受できる。