全国の消費者から寄せられる苦情件数を縮減することを主目的として大手販売代理店12社が2014年12月に一般社団法人 全国携帯電話販売代理店協会(全携協)を設立して、約9カ月が経過した。総務省では、改正電気通信事業法に基づき、初期契約解除制度の対象役務の指定を含む省令、告示の検討をまもなく開始する。全携協会長の竹岡哲朗氏(ティーガイア取締役会長)に、協会の活動状況や、初期契約解除制度に対する全携協の考え方を聞いた。

(聞き手は本誌編集長、田中正晴)

全携協に参加する会員数やショップ数などの状況は。

一般社団法人  全国携帯電話販売代理店協会会長 竹岡 哲朗氏
一般社団法人  全国携帯電話販売代理店協会会長 竹岡 哲朗氏
1974年に住友商事入社。2000年に映像メディア事業部長、2003年にジュピター・プログラミング代表取締役社長などを経て、2009年6月にティーガイア社外取締役。2013年に同社代表取締役社長執行役員。2015年1月から全国携帯電話販売代理店協会会長、2015年6月からティーガイア取締役会長。

竹岡 昨年12月の発足時は、会員が12社で店舗数のシェアはだいたい43%だった。それが今年8月27日までに、会員数が54社、店舗シェアで68%まで増えてきた。協会設立時には店舗シェアで70%を当面の目標にしていたが、もう少しでクリアできそうだ。ただし、規模の大きい販売代理店会社は既にほぼ加盟してもらっており、今後店舗シェアを上げていくのはそう簡単ではない。キャリア各社の協力や、既会員のネットワークを活用しながら、目標に向けて勧誘活動を展開していく。

地域活動の拡充に向けては。

竹岡 理事会社は12社でスタートしたが、いまは14社になっている。この中で既に関西に本社を置く会社にも理事会社になってもらった。今後も理事会社の規模を拡大して、様々な地域で展開する有力な販売会社にも理事会社として入ってきてもらいたいと考えている。

 また、各総合通信局が開催する電気通信消費者支援連絡会各地区の会合に参加するといった展開は、これまでも実施しており、継続していく方針だ。こうした活動にも、全国展開する会社の支社あるいは地域の販売会社に参加してもらうつもりだ。

消費者から寄せられる苦情の縮減に向けた取り組みの状況は。

竹岡 計画通り、全携協の12社の直営ショップ1600店舗からデータを集めて分析する仕組みを、試験稼働を経て導入した。米セールスフォース・ドットコムの仕組みを使ってシステムを構築している。店舗数は近く2000店舗に拡大する予定である。

 稼働して約5カ月で、既に1万7000件程度集まっている。ここでは現場スタッフの対応では解決せずに店長などが二次対応した案件や、その日のうちに解決せずに翌日に持ち越した案件など、エスカレーションした問い合わせや苦情案件を対象に集約している。これだけの数が集まったので、いま分析を進めている最中だ。

 同時に各ショップから改善提案も出してもらうようにしており、既に2500件程度集まった。利用者の方々に日々向き合っている現場の声は非常に大切であり、会社の枠を超えてその声や改善提案を直接聞くため店長会議も、全携協として8月末から開催を始めた。システムを使ったデータ収集に、現場の生の声を加えることによって、より具体的な形になる。我々は、電気通信事業者協会(TCA)と共同で苦情縮減に向けた方策を考え取り組んでいく方針だが、そのベースになるだろう。

 業界を挙げて、ショップの店長も巻き込んで苦情の縮減に取り組んでいることを理解してほしい。