プログラミングに関する知識や情報を共有するためのサービス「Qiita」や、プログラマ向けキャリア支援サービス「Qiita:Career」などを展開するIncrements。代表取締役の海野 弘成氏に、今気になっているテクノロジーやソフト開発者が求められるスキル、そして転職市場で求められるプログラマ像について聞いた。

(聞き手は久保田浩=日経ソフトウエア


写真●Incrementsの海野 弘成氏
写真●Incrementsの海野 弘成氏

今、どのようなテクノロジーが気になっていますか。

 「人工知能」関連のテクノロジーに注目しています。人工知能関連の中でも、2つのテクノロジーが気になっています。1つは、人工知能が処理するデータを「どのように集めるか」というデータ収集基盤に関するテクノロジーです。もう一つは、「どのように処理するか」という分析を行うためのテクノロジーです。データエンジニアやデータアナリストが扱うテクノロジーですね。

いわゆるビッグデータの分野ですね。

 ビッグデータは人工知能や機械学習の進歩によって、バズワードではなくなりました。今まさに実務として定着するフェーズにあります。

 少し前までは、「データをどのように集めるか」と「データをどのように処理するか」という2つの技術分野を一人で担当することもあったと思います。しかしビジネスとして人工知能が定着しようとしている今は、それぞれのテクノロジーを扱う専門家が現れてきています。それぞれのテクノロジー自体は人工知能がまだ発展途上の分野であることから、各社とも試行錯誤しているところです。

その他にソフトウエアの分野で気になっているものはありますか。

 インフラをソフトウエア化するという点で、「Docker」が気になっています。Webサービスのバックエンド周りは、実はここ数年では大きな変化は起こっていないと思います。それよりも今は、インフラ周りがソフトウエアによって進歩しています。そうしたインフラ部分では、米Googleのプログラミング言語「Go」が定着しています。このGoも気になっていますね。

Go言語はどういった分野で使われているのでしょう。

 Go言語は、実はパブリックなWebサービスで使うのには向いていないと思います。融通が効かない面があるからです。Go言語がフィットするのは、社内サーバーの管理まわりに使うなど、要件が明確になっているところです。パブリックなWebサービスの構築では、とにかく開発スピードが重視されます。しかし、Go言語はそうしたWebサービスの開発には向いていないと思います。

Incrementsのサービスである「Qiita:Career」では、プログラマの転職支援を行っています。「今この技術を身に付けておくと転職に有利」と言えるものはありますか。