NFCフォーラムは、NFC対応アプリの開拓とプロモーションに力を入れている。同フォーラムの田川晃一チェアマン(写真)に、最近のアプリ動向とフォーラムによるアプリ開発支援活動などを聞いた。

(聞き手は菊池 隆裕=日経BPイノベーションICT研究所


最近のNFCアプリの動向を教えていただけるでしょうか。

 NFCのような非接触ICカードのアプリケーションといえば、ペイメントの印象が強いのですが、実はそれ以外にも幅広い分野でユニークなアプリケーションが存在します。

写真●NFCフォーラムの田川晃一チェアマン
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写真●NFCフォーラムの田川晃一チェアマン

 例えば、東洋製罐は、ワインのボトルでの利用を想定した、NFC活用型の偽造防止用キャップ「LOSIST PLUG」を開発しました。通常は、ボトルのNFCタグをスマートフォンなどで生産者情報などを読み取りますが、ワインの栓を抜く際にキャップのNFCタグが破損されるので、同一ボトルでの詰め替えによる偽造などを防止できます。

 また、任天堂は、NFCタグを内蔵したキャラクターフィギュア「amiibo」を2014年12月に発売します。amiiboに対応するソフトが動いているWii U GamePadにamiiboをかざすことで、ゲーム内にキャラクターを登場させるなどさまざまな体験を生み出します。

 無線でも同じような体験ができますが、「タッチする」という、情報の送り手と受け手が分かりやすく、確実なアクションになっているのがいいんじゃないかと思います。

このようなアプリを含めて、新しい用途はどうやって探しているのでしょう。

 一つは、ネットを探す。受け身ですね。もう一つは、フォーラム自身が働きかけます。アプリ開発には、デベロッパーが大事ということで、開発支援活動をしています。メンバー総会が年3回ありますが、最近では1日をデベロッパーデイにあてています。2014年3月のサンフランシスコでは、HCE(Host Card Emulation)の立ち上げ期だったので、テーマを絞って開催しました。6月にエンジンバラで開催したときには、EMV(Visa、MasterCardが策定した、決済カードのためのICカード仕様)アプリに絞りました。

 10月には、日本でメンバー総会が行われます。日本にふさわしいテーマを考えているところです。今回、Android Application Award(A3=エーキューブ)のNFC賞の受賞作品も発表してもらうことにしており、期待しています。

 モナコの半官半民の組織WIMAは、NFCに特化した展示会を開催しています。比較的規模の小さい団体も出展できるので、幅広い用途を見ることができます。