米シリコンバレーにあるNTTイノベーションインスティテュート(NTT i3、i3の読みはアイキューブ)は、NTTグループの北米における研究開発拠点。同社のミッションは、シリコンバレーのスタートアップと提携し、すぐにでも市場に投入できる製品を開発することを通じて、北米におけるNTTグループの存在感を引き上げることだ。桑名栄二COO(最高執行責任者)など日本人幹部に話を聞いた。

(聞き手は中田 敦=日経コンピュータ


NTT i3の現状は。

桑名COO:2013年春にパロアルトにオフィスを開設した。ここにはNTTグループの社員が働くオフィスがあるほか、顧客を招いて我々の技術を紹介しながらディスカッションを行う「カスタマ・エクスペリエンス・センター」をオープンした。

 NTT i3の目的は、顧客やシリコンバレーにあるスタートアップとの対話だ。NTTグループが考えていること、知っていることをお伝えし、スタートアップとエコシステムを作っていきたい。北米市場向けのクラウド、セキュリティ、モバイルに関する製品を開発するが、自社開発はやらないつもりだ。良いスタートアップを探し出して、すぐに市場にリリースできる製品を共同開発することを主眼においている。

写真左からNTT i<sup>3</sup>の川島正久バイスプレジデント(VP)、桑名栄二COO、高橋健司VP
写真左からNTT i3の川島正久バイスプレジデント(VP)、桑名栄二COO、高橋健司VP
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 方針は五つある。「マーケットドリブンで開発する」「12~24カ月先の市場を狙って開発する」「北米におけるNTTグループのプレゼンスを向上する」「NTTグループの技術を迅速に製品化するプロダクト・ライフサイクル・マネジメントを確立する」「北米なりの新しい企業文化を作る」だ。

 北米ではNTTのプレゼンス(存在感)が乏しいので、誰も話を聞いてくれない。そのため米セールスフォース・ドットコムのイベント「Dreamforce」のゴールドスポンサーになったり、米ガートナーのカンファレンスに出展したりして存在感を高め、我々のクラウドやセキュリティへの取り組みを聞いてもらおうとしている。