米Hewlett-Packard社(HP)のネットワーキング部門でCTO(最高技術責任者)を務めるマーク・キャロル氏が「Interop Tokyo 2015」の講演のために来日し、本誌記者のインタビューに応じた。この5月に買収を完了した米Aruba Networks社製品との連携や、SDN(ソフトウエアによるネットワーク)などについて語った。

(聞き手は北郷 達郎=日経NETWORK


今後の製品戦略について聞きたい。Aruba Networksの買収はどのような影響を与えるのか。

写真●米Hewlett-Packard社副社長兼HPネットワーキング部門CTOのマーク・キャロル氏
写真●米Hewlett-Packard社副社長兼HPネットワーキング部門CTOのマーク・キャロル氏
[画像のクリックで拡大表示]

 Aruba Networksは無線LANのアクセスポイント(AP)でシェアが2位。そしてHPも、ネットワークスイッチを含むネットワーク機器でシェアが2位だ。Arubaを買収したことにより、首位をゆく米Cisco Systems社を追撃する態勢が整った。

 Aruba社とHPは社風が似ていることに加え、これまで手がけて来た製品分野の重なりが少ない。APの台数やネットワークスイッチのポート数で見れば、Cisco社を上回っているといったあたりも共通している。

 そしてここに来て大きな変化がある。IEEE 802.11acの普及だ。2015年に入り、いわゆるWave2対応の製品が出てくる。Wave2は最大通信速度が6.9Gビット/秒で、端末の通信速度が初めて有線を超えるようになる。その結果として無線LANの役割が変わる。これまでは「あれば便利」という存在だったが、これからは無線LANが端末をつなぐ主要なネットワークになる。

しかし、Wave 2対応の機器はまだほとんどないのが現状だ。仮に端末とAPが対応しても、それをつなぐネットワークの速度も問題になる。

 その通りだ。まずWave 2への対応だが、ここにきてAPは登場し始めた。今後もどんどん増大していく。一方の端末も、2015年末には対応するだろう。

 さらに無線LANを支える有線ネットワークも進化している。特に重要な技術が、「HP Smart Rate」だ。既存のカテゴリー5eのケーブルを使って、アクセスポイントとエッジに位置するスイッチの間の通信速度を2.5Gまたは5Gビット/秒に高速化する。NBASE-Tという技術に基づいている。こちらも年内には製品が登場する見込みだ。

 Wave 2になると、無線ネットワークの速度は最大で6.9Gビット/秒まで高速化する。既存の1Gビット/秒の回線では、能力が足りない。しかし、ネットワークを全て敷設し直すのはコストがかかる。Smart Rateを使えば、エッジのスイッチを置き換えるだけで十分802.11acの高速性を生かせるようになる。

もう1つ重要な要素として、管理がある。

 管理性という点では、SDNが有効だ。デバイスやユーザーを適切に認知し、統一したポリシーで管理できる。ユーザーを認識することにより、セキュリティにも役立つ。