米テラデータは2016年4月、自社内や自社データセンターで稼働するオンプレミスのDWH(データウエアハウス)とクラウドDWHを組み合わせて使える製品・サービス群「Teradata ハイブリッド・クラウド」を発表した。いったいどのようなものなのか。日本テラデータが主催する国内イベント「Teradata Universe Tokyo 2016」に合わせて来日した製品・サービス開発のトップに聞いた。

(聞き手は西村 崇=日経情報ストラテジー


写真●米テラデータ テラデータ・ラボ オリバー・ラッゼスバーガー プレジデント
写真●米テラデータ テラデータ・ラボ オリバー・ラッゼスバーガー プレジデント

今春発表したTeradata ハイブリッド・クラウドとはどのようなものですか。

ラッゼスバーガー氏 主に3つの製品とサービスからなります。次世代のDWHアプライアンス(単機能サーバー)である「Teradata IntelliFlex」、Amazon Web Services(AWS)上で利用できるRDBMS(リレーショナルデータベースシステム)の「Teradata Database on Amazon Web Services(AWS)」、まだ欧米での提供にとどまりますが「Teradata マネージド・クラウド」という当社独自のクラウドサービスです。これら3つの製品やサービスで構築したそれぞれのDWHを統合管理することが可能です。

 IntelliFlexは、プロセッサーとメモリー、ディスクが1セットになった「ノード」を複数もたせて並列で処理させるMPP(超並列処理)アーキテクチャーを採用しています。今回、内部設計を見直すことで、処理状況の変化に応じて「プロセッサーだけを高性能なものに変える」といったように、プロセッサー、メモリー、ディスクをそれぞれ独立させて変更できるようにしました。ほかにも、インメモリー処理の高速化を見据えて搭載できるメモリー容量を従来製品よりも3倍強増やしたり、可用性を高めたりしています。

 Teradata Database on AWSは、AWS上で使えるデータベース製品です。特徴は、他のクラウドデータベースと比べて性能が高いこと。仮想サーバーのスペックや格納するデータ、処理要求をそろえて、他社のクラウドデータベースと処理時間を比較してみました。すると、他社のものでは24時間以上かかっていた処理が、Teradata Database on AWSでは12分足らずで、終えることができました。

処理に開きが出た理由とは?

ラッゼスバーガー氏 「RDBMS内のオプティマイザーを世界最高のものにしていく」といった目標を掲げて、25年以上にわたり開発を続けてきたことが大きいと思います。オプティマイザーは、受け付けたSQL文の処理要求に対して最も効率のよい内部処理のやり方を導き出すソフトウエアコンポーネントです。当社のRDBMSで採用しているのは、1つの処理要求に対して複数、内部処理のやり方の候補を挙げて、最も効率のよいものを選ぶコストベースのものになります。

 当社のオプティマイザーでは、RDBMS内部に格納された表などの状況を示す統計情報を他社のものより綿密に計算するなどして、ベストな内部処理のやり方を導き出すよう改良を重ねてきました。こういった25年以上の技術の研さんが、高性能とは言えない一般的なサーバーのリソースを使うクラウドで生きています。