米アップルの子会社、ファイルメーカー日本法人は2016年5月11日、業務アプリの開発実行環境の最新版「FileMaker 15 プラットフォーム」を発表した。日本法人トップのエプリング社長に、iPadやiPhoneでも利用できる業務用アプリをノンプログラミングで開発できるこの新製品の開発方針や、アップル陣営としての企業向けビジネス戦略について聞いた。

(聞き手は西村 崇=日経情報ストラテジー


写真●ファイルメーカー日本法人のビル・エプリング社長
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写真●ファイルメーカー日本法人のビル・エプリング社長

エプリング氏 モバイルセキュリティの確保やシステム連携といった面での機能拡張にも注力していますが、ここ最近、特に重視しているのがモビリティです。ある調査では、2017年までにネットに接続するデバイスの9割近くがモバイルデバイスになると予測しています。また最近の別の調査では、企業で利用するモバイルデバイスの7割がアップルの端末だという結果が出ています。

 つまり企業では、FileMakerで開発した業務アプリである「カスタムApp」を、iPhoneなどで利用する機会が今後増えてくるわけです。そこでモビリティに関する機能を強化し、iPhoneで利用できる機能を広げています。FileMakerには、WebブラウザからFileMakerで管理するデータにアクセスできるWebDirectと呼ぶ機能があります。これまでこの機能を使うことができたのはパソコンやiPadだったのですが、最新版ではiPhoneでも利用できるようにしました。

続く重点ポイントは?

エプリング氏 次にくるのがデザインです。企業ユーザーはiPhoneのようなエレガントでデザインがいいモバイルデバイスを、日々の業務で使うようになっています。そんな企業ユーザーの次なる期待は、「仕事で使うアプリもかっこいいデザインのものがいい」というものになっていくでしょう。

 ですが、FileMakerを使う開発担当者は必ずしもデザイナーであるとは限りません。それでもデザインがよいカスタムAppを開発できるよう、当社のプロのデザイナーが制作した画面レイアウトなどのひな型を充実させ、利用できるようにしています。また、カスタムAppの画面を1つ開発すれば、iPhoneを含めデバイスに応じて、適切な画面表示ができるようにする仕組みである「レスポンシブデザイン」も採用しています。

 デザインについては、米国本社の開発部門にあるデザインチームが担当していますが、当社ではかなりの投資をしています。というのも、カスタムAppのデザインがよければ、使いやすいですし、使いこなすまでの学習も簡単になります。ひいては、ビジネス現場の生産性向上に、早く寄与することにつながりますから、当社では重視しています。