「Dell EMC」がIT市場で攻勢を強める。世間を驚かせた買収劇で傘下に収めた、PCからサーバー、ネットワーク、ストレージ、ハイパーコンバージドに至る幅広いポートフォリオが武器。「全ての領域でNo.1」を掲げ、シナジーを狙う。鍵を握る新パートナー制度の出来栄えはいかに。米Dell EMC グローバル チャネル担当プレジデントのジョン・バーン氏に聞いた。

(聞き手は森山 徹=日経SYSTEMS)


米Dell EMC グローバル チャネル担当プレジデントのジョン・バーン氏
米Dell EMC グローバル チャネル担当プレジデントのジョン・バーン氏
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Dell EMCの営業部隊の現状は。

 私がDell EMCに入社して18カ月になる。当初はセールス戦略の立案やビジネスオペレーションに携わっていたが、マイケル・デルから声が掛かり、パートナービジネスのトップに就いた。チャネルビジネス推進に向けて、体制や組織を変革している。営業チームは地域単位ではなくグローバルで一つにまとめ、戦略やプログラムについても一元化を図る。

 デル テクノロジーズという新会社は、売り上げが740億ドル、従業員は14万5000人という大所帯。このうちチャネルビジネスの売り上げは350億ドルで、スターバックスやマクドナルド、ナイキをしのぐ。マイケルもこれからはチャネルが重要だと明言している。

 チャネルパートナーは、私たちと一体になってセールスというコミュニティを作ってくれる。Dell EMCの社内には、Dell EMC製品のトレーニング認定を受けた営業社員が3万人いる。認定パートナーはグローバルで12万9000人いるので、合わせて15万9000人の営業人材を抱えていることになる。旧Dellと旧EMCの戦略を照らし合わせ、いいとこ取りで強力なチャネルパートナープログラムを作った。

Dell EMCの基本戦略が知りたい。

 「Go Big」「Win Big」というスローガンを掲げ、攻めに出て大きな勝ちを収めようと訴えている。全ての領域でナンバーワンになるのを前提にしている。ナンバーワンのテクノロジーをワンショップで提供し、顧客に購入してもらえる存在になりたい。実際、サーバーはナンバーワンだし、ハイパーコンバージドもストレージも、ソフトウエアデファインドもナンバーワンだ。

 ナンバーワンになるためにテクノロジーへの投資は惜しまない。目の前のテクノロジーだけでなく、将来必要とされるテクノロジーもにらんで投資している。現在のR&D(研究開発)への投資は45億ドルに及ぶ。これは、IBMやHPE(ヒューレット・パッカード・エンタープライズ)の2倍に上る。