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 InfiniBandやEthernetに対応したデータセンター向けのスイッチやネットワークカードに強みを持つ米Mellanox Technologies社。2016年4月7日には、米Cumulus Networks社が提供するネットワークOS「Cumulus Linux」を同社のEthernetスイッチでサポートすると発表した。ワールドワイドセールスを担当するMarc Sultzbaugh氏にその狙いなどを聞いた。

(聞き手は大森 敏行=日経NETWORK


Cumulus Linuxをサポートする狙いは何か。

 ユーザーの選択肢を増やすことだ。米Cisco Systems社や米Juniper Networks社は、ソフトウエアやハードウエア、物理的なインフラを含め、すべてを一括して提供することでユーザーを囲い込んでいる。いわゆるベンダーロックインだ。そうした状況では製品の価格が高くなりがちでイノベーションも起こりにくい。

 これに対し、当社のスイッチではネットワークOSを複数の中から選べるようになる。ハードウエアとソフトウエアを自由に組み合わせられるのだ。これにより、従来のベンダーロックインの弊害がなくなる。

Cumulus Linuxをホワイトボックススイッチ(ベアメタルスイッチ)でサポートしている企業はすでにたくさんある。御社のサポートの表明は、どちらかというと後発では。

 当社のスイッチは、台湾のOEM企業などが提供している、いわゆるホワイトボックススイッチとは性能が違う。これまで、Cumulus Linuxが動くスイッチで25GビットEthernet(25GbE)~100GビットEthernet(100GbE)対応のものはなかった。一方、Cumulus Linuxのサポートを発表した当社のスイッチは25GbE~100GbEに対応している。初めて100GbE対応スイッチでもLinuxを利用できるようになったのだ。

ユーザーが御社のネットワークOSではなくCumulus Linuxを選ぶメリットは何か。

 当社のネットワークOSは、Ciscoと同じようにCLI(コマンドラインインタフェース)ベースのOSだ。一方、Cumulus Linuxでは最新のスマートな管理も可能だ。ユーザーはどちらでも好きな方を選べる。

今後、御社が発売するEthernetスイッチはすべてCumulus Linuxが動作することになるのか。

 将来的にそのようにしたいと思っている。

御社はネットワークプロセサ専業のファブレス半導体メーカーであるEZchip社の買収を2016年2月に完了した。その狙いは何か。

 EZchip社はテレコム企業向けのスイッチやルーターのプロセサを提供してきた。彼らの技術と当社のスイッチを組み合わせることで、レイヤー4以上に対応した、より高機能な製品を実現できる。ホワイトボックススイッチだけでなくホワイトボックスルーターも提供できるようになる。EZchip社は利益を上げている財務が健全な企業だということも買収の理由の一つだ。

御社はInfiniBandに対応した製品が有名だが、今後はEthernetに注力していくのか?

 現在の当社のビジネスはInfiniBandが約4割で、すでにEthernetの方が上回っている。もちろんInfiniBandも重要だが、市場の中心はEthernetになっていくだろう。