欧州SAPや米オラクルが開発するERP(統合基幹業務システム)などの保守を、開発元に代わって提供する米リミニストリート。いわゆる「第三者保守サービス」のベンダーである同社は、開発元が提示する保守費用の半額で保守サポートサービスを提供する。日本市場には2014年に本格参入し、55社までユーザー企業を広げた。「日本での事業規模は年々、倍増させる」と意気込む、同社CEO(最高経営責任者)のセス・ラビン氏にその戦略について聞いた。

(聞き手は岡田 薫=日経コンピュータ)

写真●米リミニストリート 最高経営責任者 取締役会長 セス・ラビン氏
写真●米リミニストリート 最高経営責任者 取締役会長 セス・ラビン氏
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事業規模の進捗状況について教えてください。

 2015年の売上高は全世界で前年比37%で増加しました。ユーザー企業は合計で約1300社、2015年の第4四半期(10~12月期)だけでは、106社を新規で獲得できました。この4半期の伸びは、驚異的です。

 日本国内でのユーザー企業は55社です。2016年2月には、西日本での事業を拡大する目的で大阪府大阪市北区梅田に、西日本営業所を設けました。関西だけでなく、中部、中国、四国、九州、沖縄地域での保守サポートサービスを強化します。

日本に参入してから約2年が経ちました。ユーザー企業の反応は。

 日本企業は米国や欧州に比べて、保守的な印象が強いです。独特の文化を持っています。これらの特殊な事情を課題として認識することが不可欠だと考えています。

 日本の特殊事情として最も大きいのは、日本のユーザー企業のCIO(最高情報責任者)は必ずしも専門的なスキルを備えているわけではないことです。CIOは情報システム部門を統括しているのですが、戦略策定には、部門のマネージャーや現場の担当者の判断を仰ぐケースが多いです。

 次に注意しなければならないのは、ユーザー企業とITベンダーとの関係です。日本では、システムの運用をITベンダーに任せきりというケースが多い。このような場合、戦略策定を指揮しているのはユーザー企業のIT部門なのか、それともITベンダーなのか、分からない状態に陥りがちなのではないでしょうか。